題名:Putri Jepara
著者:Suryatini N. Ganie
出版社:PT. Gaya Favorit Press (2006年)

題名:Kitab Masakan Sepanjang Masa
著者:Tim Demedia 編
出版社:Demedia Pustaka (2010年)



今回は料理本を2冊。


インドネシアを読む-putri jepara

まず1冊目の “Putri Jepara”。

19世紀末に中部ジャワのジュパラ県知事の娘として生まれ、25歳でこの世を去るまでの短い期間に多くの軌跡を残して、インドネシアの女性の啓蒙に大きな役割を果たしたカルティニ。本書は、カルティニの同母妹カルディナーが一家の食卓に並んだ料理のレシピを書きためたものをもとに、インドネシア語でわかりやすく書き直した豪華料理
本。ジャワ文字でつづられた美しいオリジナル・レシピの写真入り。

インドネシアを読む-putri jepara 2
(Opor Ayam Panggangのジャワ語レシピ)

オールカラー350ページに、200以上のレシピが紹介されています。中部ジャワの料理を中心に、中華やアラブやオランダ料理の影響を受けたさまざまな料理が並び、100年前のジャワ貴族がいかにモダンな食生活をしていたかがうかがえます。現代のジュパラの庶民の食卓では、お皿いっぱいのご飯に、かりかりに揚げたイカン・バンドゥン
(ミルク・フィッシュ)一切れか二切れにサンバル(唐辛子味噌)といったところがスタンダードであるような気がしますが…。

側室の娘だったカルティニは、一夫多妻制に強い反感を抱いていましたが、父の言葉にそむけず、やむなく自身も
側室として、やはりジャワ貴族のレンバン県知事のもとに嫁ぎます。輿入れの前に、妹のルクミニに向かって、自分の花嫁衣裳のことを「死装束」だと言ったということですが、その言葉が予言となったかのごとく、結婚1年後にこの世を去ったのでした。

著者は、カルティニの異母姉の孫に当たる人で、インドネシアでは有名な料理研究家だそうです。


インドネシアを読む-kitab masakan

2冊目は今年発行された料理大全 “Kitab Masakan Sepanjang Masa”。

サラダやメインディッシュからお菓子類、飲み物まで1243種の料理のレシピが掲載されています。インドネシア料理が主ですが、アジア料理のコーナーには茶碗蒸しやチキン・テリヤキや煮込みうどん、おでんなどの日本料理も。

ただし、たとえば「煮込みうどん」のレシピの材料のだしについては「1 liter dashi」となっていて、だしについての説明はTipとして書いてあるものの、だしのとり方までは載っていません。

お菓子類の中には洋菓子もかなりあります。ドリアン・ケーキなんてのも。

残念なのは写真が少ししか載っていないこと。それでも全978ページという枕のような本なので、全レシピの写真を
入れたら1冊には収まりきれなかったかもしれませんが。