米 デフォルト目前 17日にも債務上限 財政協議、与野党手詰まりオバマ米大統領は3日、アジア歴訪を急遽(きゅうきょ)取りやめ、議会との財政協議に専念する方針を示した。ただ、閉鎖された一部政府機関の早期再開に向けた交渉は手詰まり感が漂う。デフォルト(債務不履行)危機も近づき、与野党の思惑が交錯する中、情勢は再び緊迫化している。
◆オバマケア焦点
政府機関の再開には、未成立の2014会計年度(13年10月~14年9月)予算を上下両院で可決する必要がある。上院は与党民主党、下院は野党共和党がそれぞれ多数派で、与野党が合意できるかが焦点だ。
攻防の中心は、オバマ政権が「国民皆保険」に向け推進する医療保険改革(オバマケア)の取り扱い。政府機関閉鎖に至ったのも、オバマケアに必要な支出を盛り込んだ暫定予算案を、共和党が「財政を一層悪化させる」と退けたためだ。ただ、オバマケア法案自体は3年前に成立済みのため、オバマ大統領は「この問題で取引しない」と強硬だ。
世論調査でも共和党への風当たりは強く、共和党内にもオバマケアを支持する議員が増えている。慌てたベイナー下院議長ら共和党指導部はひとまずオバマケア問題を棚上げし、部分的に政府機関の再開を認める予算案を通そうとしているが、民主党は「小出しの策」と乗ってこない。
◆世界経済に影響
迷走に拍車を掛けているのが債務上限引き上げ問題だ。米国では際限のない国債の発行などで財政が悪化するのに歯止めをかけるため、法律で政府債務に上限を設けている。
だが、08年の金融危機を受け、オバマ政権は過去最大の約7870億ドル(約76兆4千億円)の景気対策を実施するなど財政出動を繰り返した。当然債務は膨らみ、これまでも何度も上限に到達し、そのたびに法改正で上限を引き上げることでしのいできた経緯がある。
今回も、債務は現在の上限の約16兆7千億ドル(約1621兆円)を17日にも超える見通しになっている。そうなれば米国債が史上初のデフォルトに陥り、利払いすら滞って国債市場は暴落。株式やほかの金融市場にも波及し、世界経済が大混乱に陥るのは必至だ。上限引き上げには議会の同意が必要だが、ここでも対立の構図は同じで、オバマケアや無駄な歳出の見直しを要求する共和党に対し、民主党は無条件の引き上げを求めている。
◆視線は中間選挙
さらに草の根保守運動「ティーパーティー(茶会)」が、支持する共和党議員への締め付けを強めるなど来秋の中間選挙を見据えた思惑も絡み、状況は一層混迷している。
オバマ氏がアジア歴訪を中止したのも、政府機関閉鎖に伴う措置としているが、財政協議を優先する姿勢を示し、議会にプレッシャーをかける戦略なのは明らか。与野党に太いパイプを持つバイデン副大統領が窓口役となり収拾に乗り出すとの観測も出ている。バイデン氏はやはり難航した今年初めの「財政の崖」をめぐる与野党協議でも仲介役を務め、突破口を開いた実績をもつ。