大学の経営学講義 実況中継

大学の経営学講義 実況中継

私立大学で経営学を教えています。
講義の内容や経営学のいま、について
語ります。

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テロに勝つためにはどうするか

結論から言えば、お手上げです。組織論の要である
モチベーションと組織デザインで負けているからです。

構造的に勝てない。そして、もう一つ勝てない
最大の理由がある。

それは、人間の心をコントロールするすべはない、ということです。

今回のテロでもフランス人が2人犯人グループにいた、
と言われています。

これはいくら空港や国境の出入国管理を厳重にしても
全く意味がないということです。

2年前のボストン爆破テロでも問題になった
「ホームグロウンテロリストhome-grown terrorist」を
覚えているでしょうか。

つまり自国民がテロリストになってしまう
可能性があるからです。

ISの巧みな人心掌握術

ISはここの部分非常に考えていますよね。

ネット上でのプロパガンダ、ISへの勧誘を映像技術、
IT技術を駆使して行っています。

社会的に不遇でそれを社会体制のせいにする若者が、
ホームグロウンテロリストや、テロの協力者になる
危険はますます大きくなっています。

テロが起こるのは、まず人のこころからです。

しかし、どんなマネジメントや対策でも、物理的なことはできても、
人のココロまで動かすことはできない。

そして人のココロは、気まぐれで理不尽ですから、
何不自由ない幸せな人が、テロリストになることだってある。

そう考えると、テロに勝つことなどできない、
と言わざるを得ません。

数日前の日経新聞がヨーロッパの識者のテロ論を
取りあげていました。彼は
「ISは死というおそろしい概念を、うまく使うことを
覚えた」と語っています。

経営学的にいうと、それは
management by fear (恐怖による経営)ということです。

これは最も悪いマネジメントの典型と言われていますが、
古今東西、ある種、もっとも有効なマネジメントでもあります。

ISは究極のマネジメントにたどり着いた、と
言えるかもしれません。

一応、テロと組織論の話はこれで終わりにしましょう。