誰も居なければ
そこから 見える景色を
独り占めできる
最高だ
終わりくらいに 行くと人が
少ないので
見計らっていくのだが
行ってみると先客が…
ちっ…
女の子なら まだしも
おじさんか…
と言っても 自分と同い年くらいなのだが…
外は1月の冷たい風が 吹くのだが
それが 最高にたまらない
冬の冷気に湯気が 立ち昇り
その向こうに 揺らめく煇。。
ボーっとして しばらく 考えてしまう
時間。。
ぜいたくだ…
しばらくすると、退館を促すアナウンスが流れる
うん、そろそろ
出なくては…
と隣を見てみると
まだ おじさんが 天を仰ぎながら
湯船に浸かっているではないか…
…寝ているのか??
わたしは、声を、かけた
もう、終わりですよ
『そうですね』
と言うと おじさんは
体を起こした
でるのか… と思うと
今度は。たいくすわり をして
石のように 固まってしまった
んん…??
大丈夫か…
わたしは、さらに問いかけてみた
出ないと マズくないですか?
おじさんは
『うん、マズいね…』
といいながら 一点を ボーっと 見つめたまま動かない
わかっているのか…
なるほど、
解ってはいるが
時間という概念に 縛られる
そんな生き方はしたくない
自分は自分だ。
俺は、そういう人間だ。
そう 言いたいんですね
よし、わかった
わたしも 武士の端くれ 鍋島侍。
あんたの心意気に のってしんぜよう
わたしたち は
体育座りで 一点を見つめる
精神統一の 作業に入った
閉館時間に。。
当然、スタッフが呼びにくる
『お客さん、あの もう閉館時間なので
お帰りの支度を…』
ふっ、バカ者が。。
わたしたちは、高尚な境地に至っているのだ
俗世間の時間などという
クダらない 縛りごとに
振り回される 謂れはないのだ。
動かせるものなら、動かしてみろ。
わたしたちは、石のごとく
此処を動きはしないだろう。
たとい、
体を動かしたところで
わたしたちの、心までは 動かせまい。
逮捕だの身柄拘束だのは、
俗世間のたわごとに 過ぎないのだ
さあ、こいっ!
スタッフよ!
わたしたちには、その覚悟と結束があるっ!
と 念じていると
おじさんが口を開いた
『あっ。すいません、そうですよね!?
も、もう、でます! ほ、ほら~…君、言ったじゃないか~ 早くでないと 迷惑かかっちゃうだろ!』
こ、この野郎(;゜0゜)
私と彼は、ドライヤーをすることなく
落武者のように なりながら
館内を後にした。。
なんて 世知辛い世の中に 生まれて
しまったのでしょうか
なんて日だっ!



