ロックの情報ブログ。 l バブルモア・レコーズ【泡の夜の幻想】 -171ページ目

M.R.M.C 第10話 ~林檎~

Black Rebel Motorcycle Club Live - We're All In Love


ベンジーが話してくれた。悪魔の話。
信じられない様な話だったけど、とても素敵な話だった…。

それは、ベンジーがイギーからもらったサングラスをかけて
真夜中の首都高速を走っていた時の話…

「俺は、環七をメインに単車を走らせていたんだけど
 たまに首都高速も走っていたんだ。
 いつからか、声が聴こえるようになった。俺を呼ぶ声がね。

 それが何度も続くもんだから、俺は環七を走るのを辞めて
 首都高速を走るようになったんだ。

 環状七号線には悪魔がいたんだよ。イギーって悪魔が。
 俺はイギーに気に入ってもらえてたから、いつも一緒に走っていた。

 本当に最高だった。単車のサウンドだけの世界になるんだ。
 
 でも俺が、しばらく環七は走らないって言ったら
 このサングラスをくれたんだよ。

 それから、イギーとは会ってない。
 イギーは環七を走りたがってたからな。


 で、深夜2時ぐらいだったかな…?
 このサングラスをして首都高速を走っていたら、また声がして
 赤い光の玉が俺の走る先に見えたんだ。

 その光はやがて俺を包んだ。
 俺は単車を止めた。何処なのか分からない、霧の中だった。

 そしたら悪魔が現れたのさ。その悪魔の名は林檎。


 
 綺麗な女だったよ。でもひどく悲しそうな瞳をしていた。
 林檎は言った。

  「ベンジー、私は悪魔の女王…。歌舞伎町が私の街。
   でも何が正しくて、何が間違っているのか分からなくなったわ。

   ベンジー… 私をぶって…」

 そんな事できるわけないからさ、歌ったんだ。
 
 そしたらお礼に煙草をくれたよ。
 マーシャルの匂いのするやつをね。

 俺は林檎に言った。

 何が正しいかなんてどうでもいいのさ。
 悪魔なんかやめちまえよ。
 みんなと一緒に踊ろうぜ。


 林檎は少し照れたように歌い始めた。
 俺も一緒に歌った。



  「ありがとう、ベンジー。
   私がやってきた事が消せないのは分かってるわ。
   でも、これからは私のやりたいように遊戯していくの。

   みんな、私と踊ってくれるかしら…。」
     
 林檎は微笑み、そう言って消えてしまった。
 

 霧も無くなって、俺は独り首都高を走った。
 
 もし、また会えたら、俺の弾くグレッチで
 彼女に歌ってもらいたいと思ったんだ。」


ベンジーは今でも首都高速を走り続けている。

「悪魔に恋しちまったのさ。」

ベンジーは照れ臭そうに言ってたっけ。



悪魔とは言うけれど、僕が知っている悪魔たちは
悪い存在には思えない。

ただ
自由を求めてるだけなんじゃないかな…。
 



続く…




by マニオ