いつごろからだったか、息子が真夜中に家を出て行くことがあります。
毎晩ではないのですが、何日間かすると出て行くのです。
息子の行動は、Googleマップなどから訪問先を追跡できるようにしていて、
息子が家を出た日は、私はスマホから息子の行き先を追跡します。
大体コースは決まっていますが、特に何かをしに行くという感じではなさそうです。
時間にして30分くらいで帰ってくることが多いですが、長い時は
1時間くらい帰って来ないことがあります。
私も夫も特に探しに行くということはしません。
ただ、帰ってくるまでは眠れなかったりはします。
実を言うと、息子はこの2ヶ月くらい前にコンビニで万引きをしました。
私や夫が留守の時に出掛けたようで、私が帰って息子の部屋を見た時、
ペットボトルのドリンクが3~4本と、サンドイッチやハンバーガーの袋などが
捨ててあったのです。
初めは自分で買ってきたのかと思いました。
引きこもってばかりと思っていた息子が、外に出てくれたことが
嬉しくもあったのです。
私「これ自分で買ってきたの?どこで?コンビニで?」
息子「うん」
私は嬉しくて
私「あ~良かった!ずっと引きこもって心配だと思ってたから、
自分で出てくれて嬉しい!」
息子に学生のころから書かせていた支出表のノートに
買ったものをちゃんと書いたか聞きながらノートを見ました。
すると、前回書いた残高のままで何も書いてなかったので、
私「買い物したらどこで何を買ったかちゃんと書かないと。
レシート貰った?」
と聞いても、なんだか返事が曖昧です。
私「レシートがないといくら使ったか分からなくなるでしょ?
こういう時は、前回の残高から今回の財布の残高を引くの。
そしたら、使った金額が分かるからね」
そういって、私が息子の前で財布の残高を計算し始めました。
息子は引きこもって以来、自分で支出表に書くのも辞めてしまったのです。
だから、毎回買った物は私が代わりに記載していました。
買い物も私が息子の分を買っています。
ところがこの時は、財布の残高が前回の残高と同じだったのです。
私「あれ?減ってないよ?どこのお金使ったの?」
息子「…」
息子は黙っていましたが、にわかに手が震えていたのです。
それを見た瞬間、私は「これは万引きした」と直感しました。
食べた後のサンドイッチやハンバーガーの袋を見ても、店の名前が
書かれていないのでどこで買った物かはわかりませんでしたが、
コンビニの商品らしいことは分かりました。
家のすぐ近くにコンビニがあるので、夫と一緒にその空き袋を持って行き、
店員さんに「これはこちらのお店の品物でしょうか?」と聞きます。
若い店員さんが店の商品と見比べて「はい、確かにうちの商品です」と。
この時は、「ちょっと子供がどこで買ったか分からないみたいだったので」と
言っただけでお礼を言って帰ってきました。
数日後、またも息子の部屋に同じようにペットボトルのドリンクが
前回のも併せて6本並べてありました。
すべて飲んで空っぽです。
サンドイッチとハンバーガーの空き袋も、ゴミ箱に捨ててありました。
私も夫も不安になり、家の近くの交番に行き事情を話しました。
こういった場合、コンビニで息子が万引きしたのかどうか
防犯カメラの映像を見せて貰ってもいいのかと聞いたのです。
警察の人は、「今の段階では恐らく見せてくれないでしょう。ビデオには
当然他のお客さんも映っていますから、プライバシーの侵害になると
思われます。
ご心配だったら一度聞いてみてもいいと思いますが、恐らくダメだと思いますよ」
そういわれたのです。
私も夫も確かめずにはいられなかったので、コンビニに行き責任者の方を
呼んでもらい聞いてみました。
やはり「お見せすることはできないんです」と言われました。
私も夫も子供が軽度の知的障害があることも話しました。
それはお店の人に「息子さんは中学生か高校生くらいですか?」と聞かれ「20才です」と答えると「あ、20才?!」と驚かれたので、知的障害のことをはなしたまでです。
「安易に息子に疑ったようなことも言えないので、お店で確認
したかったんですが、やっぱり駄目ですよね。すみません」
と謝ります。
お店の方も「ご心配ですね。息子さんの顔が分かるような写真が
あれば、もし来た時に注意して見ることはできますけどね」と。
私は息子が20歳の成人式の時に撮った写真をスマホに保存して
いたので、それを見せました。
私「今は髪が伸びていて少しこの時とは風貌が違うのですが」
とりあえず、息子の現在の写真が撮れたらお見せしますということで
帰りました。
お店の方は、「同じ店舗ならどこにもある商品ですから、うちからとは
限らないこともありますからね」とも言われていました。
そしたらその翌日、息子がその店でやはり万引きをし、
警察に通報されました。
警察から家に電話があり「息子さんが万引きをしたので、今息子さんと
一緒に警察署に来ています。今から来てもらえますか?」
この時は、夫が仕事で朝からいなかったのと、私も外出中でした。
電話を受けて私一人で行きました。
ドラマでよく見るような、四角い小さいテーブルを挟んで警察の人と
差し向かいで座っている息子。
私は駆け寄って「あんた、何やってるの!自分が何やったか分かってるの?」
息子は何も答えません。
警察「息子さんに間違いないですか?」
私「はい、間違いありません、うちの息子です」
警察「とりあえずコンビニの方は、
今回は事件化にはしませんということだったのですが、
今後は出入り禁止ですと言われました。
お母さんにもちょっと念書を書いてもらえますか」
先に警察の人が白紙の紙を2枚持ってきて、その1枚目に警察の人が
私に書いて欲しい内容の例文を書きました。
これを見て同じように書いてくださいと言われたのです。
その内容は
「息子〇〇〇〇(氏名)は、2024年〇月〇日〇〇店で万引きをしました。
〇〇(息子の名前)は、軽度の知的障害があります。
今後はこのようなことがないように、しっかり監視いたします。」
息子を連れて家に帰ります。
夫は夜勤で翌日の朝に帰ってくるので、私はリビングで
息子と一緒に就寝。
夫の母にも電話していたので、母も翌日来てくれることに。
翌日9時を過ぎてから、夜勤明けの夫と母が一緒に帰ってきました。
丁度駅で会ったそうです。
夫も母も息子にこっぴどく怒ることはせず、一体どうしたのかと聞いて
います。
しかし特に何も語らずでした。
このようなことがあったので、息子が真夜中に家を出ると
また悪さしないか夫も私も心配しています。
今のところ、特に何か持って帰ってきてる様子はないので、自分でも
もうお店には行かないと思っているのかもしれません。
自分で悪いことと分かった上でやっているので、これは親が
試されている気がします。
しっかり愛情を注いできたつもりでしたが、本当の愛情ではなかったのか。
これまでの子育てを振り返っても、決して正解だったとは思いません。
少し過保護にしすぎていて、可愛がり過ぎていました。
何をするのもずっとそばで見てきたのです。
そのため、いつの間にか自分の所有物のような扱いになっていたのでしょう。
息子は大事な成長過程で、反抗期がありませんでした。
反抗期がないと一見すごく楽そうなのですが、これは人間の成長過程でとっても
大事なことで、反抗期があった子どもはほとんど引きこもらないらしいです。
そして、引きこもりになる原因のダントツは「親の過干渉」。
確かに構いすぎていて、もう一挙手一投足を見ていた気がします。
息子には毎日ががんじがらめで、苦しかったのかもしれません。
そんなこともあり、私は息子に涙ながらに謝りました。
私「ホントに悪いお母さんでごめんね、ホントにごめん」
それ以上何も言えませんでした。
息子は「いいから…」と一言。
そんなことがあってから、時々警察の人から電話があり
「息子さんの様子、今はどうですか?」と。
すっかり警察にマークされています。
「時々真夜中に出て行くことがありますが、何も持たないでスマホだけ
持って出て行くので、何も持ち帰ったりはしてないみたいです。」と
答えます。
実際息子の部屋を見ても、特にペットボトルや食べ物の空き袋なども
ありません。
夫は「外で食べてそのまま捨てて帰ってきてることも考えられるよ」
といいます。
もうこれは未然に防ぐことは不可能なので、そういうことが
起きた時はもうその時はその時と考えないとしょうがないですね。
警察にも相談窓口があるので、話は聞いて貰えました。
最初息子が家を出るようになった時も、心配で警察に電話すると
警察「もう20歳の大人ですから、4つや5つの子供とは違いますから
探しに行くこともありませんよ」
年齢は大人でも精神面でまだ幼いと思うので、大人と子供の境界線を
判断するのは息子の場合は難しいです。
初めは警察に「息子を監視します」と念書を書かされたこともあり、
ずっと見ていないといけないような気がしていました。
警察の人には「少し、監視という言葉に囚われすぎていると思います。
監視ではなく、看護という受け止め方でいいと思いますよ」と。
「犯行を未然に防ぐことは不可能だし、
警察も何か起こらないと動けませんし、その時はその時ですよね」
と言われました。
私も最近ではようやくそう思って割り切れるようになりましたが、
最初はそう言われてもやはり気が気でなく、私が病院に
行くときなどは、姑に来てもらったりしていました。
今は息子も落ち着いているようですが、今だ一人で笑ったり
おならも遠巻きにでもしてきます。
そういう意味ではまだまだ正常とは思えません。
息子にも「この先、親がいつまでも生きている訳ではないから、
親が生きている内に、しっかり元の生活に戻らないと自分が
困るんだよ」
と言い聞かせています。
とはいっても、今の息子には「いずれ親が死ぬこと」「一人になること」
ということには、現実味がないでしょう。
次回は、息子にやらせていることを書いていきます。