撮影の部屋に戻ると
彼女の手をそっと離す。
僕たちが戻ってきたのを確認すると
プロデューサーは
「2人共大丈夫か?」
心配そうに声を掛けてくれた。
僕は
「僕たち、仲が良いゆえに
こういうシーン、ちょっと気まずくて……。
だから2人で打ち合わせしてきたんです。
ちょっと試行錯誤しながら
やってみようかって…」
そう説明した。
プロデューサーは理解してくれて
「そっか……そうだよね~。
ホントに君たち仲良いから…
確かにそうだよな~。
でも作品にかける真剣さ
凄く良いと思うよ!
よし……まず焦らないでやろう!」
プロデューサーの暖かい言葉で
モヨナはまた少し
落ち着いたような気がした。
「じゃ、スタンバイ出来る?」
「「はい」」
僕は彼女の手を引いて
ベッドへ連れて行った。
そして彼女をベッドに寝かせながら
突然思い付いた話をしてみる。
「モヨナ。
ホットケーキって作ったことある?」