「な、なに…?」
「どこ決まったの?就職先」
私は自分の世界に入ってしまっていたから
そう聞かれてハッとする。
「あ……銀行…だよ…」
「前受けるって言ってた△△銀行?」
「そう」
そう答えると彼は何故か
ふっと笑った。
「ねぇなんで笑うの?…酷くない?」
彼にバカにされたんだと思って
そう言ったら
「いや、さすがだなぁと思って」
と返してきた。
「堅実でホント
しっかりしてるよな、そういうとこ」
どうやら褒めてくれたようで
ホッとした。
「勤務地は?」
「まだ全然分かんない」
「そっか…。決まったら教えろよ」
「うん」
彼に仕事の話をされて
自分がもうすぐ卒業なんだと急に実感する。
社会人になれば
私も忙しくなって
彼と余計に会えなくなるだろう。
私は彼との未来にまた不安を覚えた。