突然のことに
私は自分の身体を支えられなくて
彼の胸に手をついて
勢い良く倒れ込む格好になってしまったけど
彼は私を包むように抱き締めてくれて
だから私は彼に委ねた。
彼とのファーストキスだった。
軽く抱き締められてキスされて
彼は意外とガッチリしているから
男らしくて
ドキドキした。
初恋をするような年齢じゃないんだけど
初恋を実らせたかのような感じで
ドキドキして
幸せな気持ちになった。
「なんか……
俺ばっか幸せでわりぃ…。
いつもしてもらってばっかだし……
ホント……わりぃ……。
何かして欲しいことあったら言えよ。
遠慮とかすんなよ。
疲れてるとか
そういうの気にしなくていいから」
私も幸せなのになぁ………
彼の癒しになれるなら
それが私の幸せなのに………
「わ、私も幸せだよ…?」
なんか女々しいかなとか思いながらも
たどたどしくそう言うと
「ホントかよ。
お前ホント何も言わねぇから」
彼は少しため息をついていた。
「い、言いたいことがないだけだよ…」
あぁ……
また可愛くないことを言ってしまった。
言って落ち込んでいると
彼はふっと笑って
頭をぽんぽんと撫でてくれた。