「ま、浮気したら……
キレるかもしんねぇけどな。
あんま会えねぇから……
し放題だもんな」
彼が冗談なのか
真面目なのか分かんない表情でそう言うから
「す、する訳ないでしょ!」
焦ってそう言って
恥ずかしさに目を反らした。
彼も浮気どうこうとか考えるんだ………
ちょっと意外だなぁ……
そう思いながらマッサージを再開した。
彼の自覚症状通り
肩や首のツボがガチガチだった。
でもマッサージしていくうちに
最初はしかめていた表情が
徐々に穏やかになっていく。
彼の様子を見て
私もホッとしてくる。
一通りマッサージを終えると
彼は
「いつの間にかさぁ…」
そう切り出した。
私が彼を見ると
バチっと目が合って
ドキドキした。
「お前の居る場所が
俺の落ち着く場所になってんだけど。
不思議だわ…」
そう言う彼に照れた私は
彼の手を離した。
でも
彼は代わりに私の手首を掴む。
「お前と居る時間って
まだすげぇ少ねぇはずなんだけど
最初会った時から
なんか妙に落ち着く気がしてた。
だからここに来ると仕事はかどんだよな…」
恥ずかしくて逃げたくなる。
正直
こういうこと言われるのは恥ずかしくて
そわそわする。
だから少しだけ
手首を自分の方に引っ張ったけど
彼は離してくれなかった。