「ねぇコリちゃん。
付き合ったからには
コリちゃんのこと名前呼びしていい?」
「え?や…あの…付き合ったん…」
「あ、コリンて呼びたいな~」
「あ、はい……それは…」
「あとさ、敬語やめて欲しいな。
タメなんだからタメ口にしよう。
あとさん付けもダメね」
彼は次々と決め事を告げてきて
私は全くついていけなかったし
なんか圧倒された。
「あぁ、あとさ
僕をあまり芸能人扱いしないでね。
コリンと仲良くしたいから
僕と会ってる時は特に
特別扱いしないで平等に。
彼氏だからね」
でも
やっぱり謙虚さというか
普通でいたいという感覚を持っていて
そこは素敵だなと思った。
「うん……分かった………タメ口…で……
あ、でも何と呼べば…」
正直状況も分かってなくて
なんか付き合ったことになったの……?
って感じで
流されてしまった感があるけど
"私が"選ぶ権利はないと思ってたし
一般的には本当にありがたい話だから
流されておいた。
「ジンでも良いし
ジンくんでも良いし。
コリンに名前呼ばれるなら
何でも嬉しい!」
なんか彼の発言は
いちいち恥ずかしくなる。
「じゃあジンくん……」
そう言うと
彼は嬉しそうに
「や~~嬉しいよ」
と喜んでいた。
「ねぇコリン。ごめん。
僕バタバタしてて
飲み物しか用意出来なくて…
本当は一緒にご飯食べたかったんだけど……」
彼が忙しいのはよく分かる。
ここで会うくらいだし
ギリギリまで
仕事をしていたんだろうと思う。
「全然大丈夫。飲み物…ありがとう」
「しかも甘いのだし……
ごめんね」
「だから飲めるって…」
私はふふっと笑って
彼がくれた可愛いイチゴミルクを見つめた。
「ねぇ……
またこうやって
ロケ車で会わない?
撮られるとかそういう心配もないし
誰にも邪魔されないし」
「私はいいけど………
でもこの車って使って大丈夫なの…?
勝手に……」
「気分転換してくるので
車貸して下さい。
運転はしないのでってお願いするだけだから
大丈夫だよ~」
「そうなんだ……」
「コリンはそういうの
気にしなくていいから。
僕が何とかするからね~」
「……うん」