「久しぶり!元気にしてた?」
私は
あまりにも普通に話しかけてくる彼に焦って
「あの…ちょっとこっちに……」
強引かもしれないけど
彼の服の裾を掴んで
エントランスホールから外れの
機械室前に彼を連れ出した。
ここなら人目につきにくいだろう。
私は彼を離すと
「服引っ張ってすみません…
あの……どうされたんですか…?
こんな所にいるなんて……
このビルに何かご用があったとか…」
このビルに入っているテナント的に
彼に関係あるものがあるとは思えなかった。
道に迷ったとも考えにくいし………
彼の表情は
薄暗いこの場所ではよく見えないし
何を思って私に話しかけたのか
よく分からない。
「ん?コリちゃんに会いに来たんだよ?」
彼は落ち着いた声で
平然とそう言った。
え…!?
焦って動揺している私と対照的に
彼はすごく落ち着いている感じだった。
「えっと……私…何かしましたか…?」
私は何を話して良いかも分からなくて
私の心臓は壊れるかと思うくらいに
脈を打っていた。
薄暗くて表情が見えないこの場所では
彼の高い身長は大きな影となって
言葉を悪く言えば威圧感がすごかった。
私は怖くなって
後退りした。
「ただ、僕がコリちゃんの顔を
見たくなっただけだよ。
あ……もしかして忙しかった?」