「お邪魔します」
彼はそう言って中に入ると
帽子をとった。
彼はキョロキョロと部屋を見ている。
私は恥ずかしくてそわそわした。
「結構綺麗にしてんだな」
そう言われてホッとしつつも
「昨日来るって言ったから頑張った」
正直に話すと
彼はフッと笑って
「面倒かけたな」
と言った。
私は彼のその笑顔にドキドキした。
「掃除とかわざわざしなくていいよ。
俺あんま気にしねぇから」
彼はそう言ってくれたけど
それを本気にしたら
ただのズボラ女だと呆れられそうだから
そこはちゃんとしておこうと思った。
彼に嫌われたくなかったから……。
「そこ座って」
ソファに案内すると
彼は
「あ~~~~」
と唸って腰を下ろした。
「疲れた……」
そう呟く彼は
とても疲れた顔をしていた。
「仕事キツい?」
「曲がさ……
なんか浮かばねぇ……」
彼は天を仰いでいた。
そんな彼もカッコ良く見える。
「ちょっと手貸して」