「何食いたい?」
「何でも………」
私は緊張していたこともあって
口数が少なくなっていた。
彼に告白することで頭が一杯で
お腹が空いてるとか
そういう感覚は
無いに等しかった。
彼に連れられて
チゲのお店に入ると
良い匂いがして
少しリラックスした。
「何か変わったことはあった?」
向かい合って座ると
彼とバッチリ目が合う。
胸がドクドク強く脈を打った。
「変わったこと…………
あ………バイト辞めた」
「マジかよ」
彼はテーブルに肘をついて
目を覆った。
「LINEとかん時言えよ」
「え、別に聞いてもアレかな~と思って…」
「なんで辞めた?」
「え?
そろそろ卒業後の就職先とか
考えようかなって思って……
時間欲しかった。
あとは………….アレかな……」
「ナンパの件」
そろそろ就活が始まる時期だったし
無理して続ける理由が無くなったから
ナンパもめんどくさいし
辞めた。
それだけの理由だったけど
彼が目を覆ったので
ガッカリした感じがした。
「結局ね、店長、言えなかったの。
昔からのお客さんだったみたいで……」
「だとしてもあれはセクハラだろ。
対処するのが当然…」
「世の中そうストレートにはいかない。
辞めるのに丁度良い時期だったし……いいの」
せっかく彼が世話を焼いてくれたのに
何も出来なかった………。
私は申し訳なくて
彼にありがとうを伝えた。
「ユンギには感謝の言葉しかない。
私が傷つかずに逃げられたのは
ユンギのおかげだよ。
店長に私が言ったって
無駄だったってことでしょ?
それをせずに済んだから
その後も少し続けられたし……
ありがとう…」