「おい……お前…
意外とそういうのダメなタイプかよ…
あの男は?
まだ付きまとってくんのか?」




「………………」









彼に店長に相談しろって言われたけど




もし店長が
お客さんにやめてくださいって言って
トラブルになったりしたら

みんなに悪いし
ここに居づらくなるだろうし………と


行動に移せずにいた。















「あと何か困ってることは?」






彼は私の無言から悟ったらしく

怒鳴ったりもせず




むしろ他にもないか心配してくれた。









「ならよかった」









本当に優しい人だなぁ……







迷惑かけまくってるのに


私のこと心配してくれてるんだ………








私は彼の人の良さを
心からありがたく思った。




















彼のマッサージを終えて




その日も何人かのお客さんを担当して





帰る準備をしていると




店長に声を掛けられた。









「キムさん。
キムシセリさん、ちょっといい?」

「あ…はい……」






ドキドキしながら
店を閉めて暗くなった
カウンターの方について行った。









「キムさん
お客さんからセクハラされてるの?」





突然の店長の話にビックリする。





「……え」





「今日ね
ミンさんっていうお客さんが
キムさんがお客さんに
付きまとわれてる所を見たって
心配して言ってくれてね……。
そのお客さんは誰?何かされたの?」




私は驚きのあまり

動揺したけど





「セクハラされるまではいってませんが……」





少しずつ

状況を店長に話した。










「そっか……
僕が気づいてやれなくて悪かったね…。
対策……考えてみるよ。
やぁ……ミンさんは良い人だね。
あぁいうお客さんを
大事にしていかなきゃなと
僕も改めて思ったよ」



「そうですね。
優しい方ですよね」



「引き留めて悪かったね。
気を付けて帰ってな」