「では
先生呼んで参りますので」
そう言って立ち去ろうとすると
彼は丁寧にも
「ありがとうございました」
と言ってくれた。
女性は言ってくれる人はいるけど
男性は口説いてくるか
無言の人が多いから
彼のように
ちゃんとお礼を言ってくれる男性は
初めてだった。
私はなんか気恥ずかしくて
会釈をして出て行った。
そのまま私は先生を呼びに行く。
「先生、ハンド終わりました。
お願いします」
「あ、お疲れ様~。
えっと~?あ、噂のご新規さんか。
ミンさんはお得意のホンさんの
お知り合いらしいよ」
「そうなんですか?
ホンさんって…
少し前によくいらっしゃってた?」
「そうそう。
まぁ僕も詳しくは知らないんだけどね。
じゃあ次チョンさんのハンドよろしくね」
「はい」
私は次の人の準備をしながら
彼の事を考えていた。
それから彼は毎週のように
マッサージ屋さんに来た。
お得意さんの知り合いだしと
私はいつも彼の担当にされて
毎回ガチガチになっている彼の手を
ほぐしていた。