「裏口までで大丈夫?」
「大丈夫ですよ。
というかここで大丈夫です」
彼女は僕に腕を引かれて
小走りになっていたことに気づいた僕は
ハッ としてスピードを落とす。
「ごめん……
普通は入れない所だから
俺といないと不審に思われちゃうから…」
そう話すと
彼女は
「あ……そうですよね…」
と少し俯いた。
「なんかすみません……
こんな所におしかけちゃって……」
「いや、むしろ来てくれてありがとう。
ずっと会いたかったんだけど
俺が行けなかったから……」
そんな会話をしながら裏口に向かっていると
「ヒョーーーン!」
ジミンが僕を呼びながら
マネージャーと共に走って来るのが見えた。
僕が走ってくる2人の方を見て立ち止まると
僕は彼女の手首をそっと離す。
彼女はヤバイと思ったのか
後ろの方を向いた。
「ホソク。
今からの予定変更になってさ……って
後ろの方は…どなた?」
マネージャーはすぐに彼女に気づいた。
ジミンは彼女に近寄って顔を確認すると
「あ………ヒョンの………友達……です」
気遣ってそう言ってくれた。
彼女は失礼だと思ってか
ジミンに会釈をすると
マネージャーにも体を向けてお辞儀をした。
マネージャーは
状況がよく分かってないようだったけど
「あ……とりあえず撮影の順番
入れ換えになったからってことで……
30分後には入れるように準備しといて」
それだけ伝えて
走り去って行った。
マネージャーはなぜか
ドギマギしているよう見えたけど
まぁいっか……と
彼女に向き直った。