その日から
僕の食欲は更に落ちていき
睡眠の質も落ちた。
その中でスケジュールをこなしていくのは
辛いものがあった。
僕は所謂
失恋による精神的ダメージを受けていて
これでは活動もダメになってしまうと
彼女の事を何回も諦めようと思った。
だけど
彼女のことが頭を離れることはなかった。
彼女の無言の返事は
僕への返答だけでなく
彼女の生存確認にもなった。
この世界のどこかで彼女は生きている……
そう思うだけで
一種の安堵の気持ちと
彼女が僕の元にいないことへの不安が
同時に沸き起こってくる。
ネックレスが彼女からの返事だと
分かってはいても
僕は諦められないでいた。
そして諦めの悪い僕は
色々考えた結果
彼女の口から別れを聞くまでは
諦めないと決めた。
しかし
彼女の居場所が分かる情報は
封筒に押されていた
ニューヨークの郵政局の印のみ。
もしマネージャーの言う通り
旅行だったとしたら
何の意味もない手掛かりだ。
そうやって
彼女をどうやって
探し出すか考えているうちに
仕事に追われ
僕は海外公演の為に
バタバタと
ニューヨークへ向かうことになった。