それから2週間が経った。
デビューした途端に
宣伝の為の仕事が増え
俺は忙しくて彼女に連絡が出来なかった。
でも今日の夕方
久しぶりにマッサージの予約を入れている。
彼女に会うのは
ちょっと気まずいけど
連日のレッスンで体がキツかったし
会わないと益々気まずくもなるし
行くことを決めた。
でもその日は
ハンドマッサージの担当が違う人で
緊張しただけ無駄だった。
体はスッキリしたから
まぁいっか……と
帰ろうとすると
廊下から少し外れた
少し薄暗い感じの所から
誰かの話し声が聞こえてきた。
なんとなく気になって耳を澄ますと
良くない状況が起こっている事が
なんとなく分かった。
「1回くらいいいじゃん。
僕、君みたいなクールビューティーな子
タイプなんだよね~」
「困ります……
他を当たってください……」
「ただのデートだよ?
何も変なことするつもりでもないしさ」
「や………でもあの……」
声からして
彼女だって分かった。
だから足を止めたんだろうと思う。
俺は声のする方へ
そっと近づいて様子を伺ってみると
中年の小太りの男性が
彼女を口説いているようだった。
俺は小さく溜め息をつくと
2人の元へ近づいて行った。
「すいません」
俺が男に声を掛けると
男はビクッと振り返った。