「初めまして。
キムと申します。よろしくお願いします。
先にハンドマッサージさせていただきます」
彼女はそう挨拶して
俺の隣のサイドテーブルで
準備をし始めた。
普段の俺だったら無言だったと思う。
でも何故か彼女が気になって
気づいたら話し掛けていた。
「あ……マッサージってどこやるんですか?」
「全身と伺っております。
私はハンド担当で、あとは先生がやります」
「今から別の人が来るってことですか?」
「はい。私はバイトなので……」
「そうですか……」
彼女が俺の手を取って
マッサージをし始める。
普段人に手を触られることなんかないから
施してもらうまでは
ちょっとだけ抵抗もあったし
緊張したけど
気持ち良くて
すごくリラックスができた。
「いっっ……」
でも時折痛む所があって
思わず顔をしかめると
「すみません…お客様……
あの……少しお腹の調子が悪い時とか
ありませんか…?」
俺はえっ と彼女に顔を向けた。
「え……と………
最近食欲なかったり
腹痛いなって時はありますね…」
「やっぱり……。
ここが凝ってます。
ここが痛むってことは
その辺りの調子が悪いことが多いようです。
少しほぐしますね…
痛くて辛い時は言ってください」
彼女はそう言うと
丁寧にそこを揉みほぐしてくれて
だんだん痛みが
気持ち良さに変わっていく。
彼女は一通りハンドマッサージを終えると
「では
先生呼んで参りますので」
と立ち上がる。
「ありがとうございました」
俺は彼女のマッサージが上手かったから
お礼を言うと
彼女は軽く会釈をしただけで
そのまま去って行った。
俺は彼女の人に媚びない感じの
さっぱりとした話し方や雰囲気が
なんか良いなと思って
彼女のことが気になるようになった。
