人数分のコーヒーを袋に入れてもらって
オフィスに戻ろうとした所で
両手が塞がっていて
上手く人混みを避けられず
人にぶつかってしまった。
「Sorry……」
その人の背中にぶつかってしまったので
背後から謝る。
背が高くてスラッとした感じの人で
私に気づいて振り返った。
え…………
なんとナムジュンくんだった。
「え!?」
「あ………え……○○………さん…!?」
私もナムジュンくんも驚きのあまり
一瞬固まった。
「○○さんですよね…?」
「……うん」
「一瞬見間違えたかと思いました……
旅行ですか?」
「え?……いや……」
「あ!テヒョナ
あっちでホットドック買ってるんで
呼んできます!
ここで待っててください」
テヒョンくん!!!!!?
私は一気に心拍数が上がって
冷や汗をかいた。
気づいたら走っていて
オフィスの辺りまで逃げていた。
まさかこんな所で会うなんて…………
今頃探しているかもしれない………
そう思って
急いでオフィスの中に向かった。
オフィスに戻ると
汗だくになって帰ってきた私に皆が驚く。
「What's up!? Are you OK?」
私はぎこちなく笑って
「No problem」
と返したけれど
袋の中のコーヒーはNo problemではなかった。
「どうしたの~?
誰かに追いかけられた?」
社長が袋を覗きに来た。
「いや……あの……
皆さんが待ってるかな~と思って……」
苦し紛れの言い訳をしたら
社長が空気を読んだのか
「ま、大丈夫だ。
とりあえずお昼食べよっか」
と声を掛けてくれた。