-○○目線-
1週間の
ニューヨークでのスケジュールを終えて
韓国へ戻る飛行機の中。
「昨日ね
一応韓国の芸能ニュースを
確認しといたんだけどね
アンナとは恋愛関係にないって
報じられてたよ」
私はアンナという名前を聞いて
すぐに反応した。
でも事実がどうであれ
事務所は否定することがまず多い。
だから真実なんて
報道では分かる訳がない
そう思った。
「もし本当は付き合っていても
そう報じられることも多いんですよ。
芸能界なんてそんなもんです」
私が真顔でそう返すと
「そうなの?
あれれ……僕はダメだね~
そんなことも分からないんじゃ」
そう言って
頭をかく仕草をしながら
意外そうな感じで私を見ていた。
私は興味がない風に振る舞っていたけど
内心
韓国に戻って
どうなっているのか知るのが怖かった。
社長は気を使ったのか話題を変える。
「韓国に着いたら
すぐマンション行って
休んでもらっていいから
次の日夕方くらいに
一緒に会社来てくれるかい?
その日は手続きとか
直近のスケジュール確認程度で終わるからさ」
「分かりました」
「帰って1日くらい
休んでもらっていいんだけど
今後のこと分からないと
君も大変になっちゃうからさ」
「あ、大丈夫ですよ~
出来ればすぐにでも仕事したいです!」
「お~~やる気満々だね~」
本当は考える時間を作りたくなかったから。
韓国にいるだけで
否応なしに情報がどんどん入ってきてしまう。
だから忙しくなりたかった。
長いフライトを終え、仁川空港に着く。
所々にBTSの広告があった。
それで帰ってきたのだと実感してしまうのは
今の私には皮肉なことのようだった。
それを極力見ないようにして
社長と共にマンションへ向かった。
その日は疲れて
ごはんも食べずに眠りについた。