ホソクさんと約束した当日
電車に遅れが出てしまって
待ち合わせだった地元の駅に
時間より遅れて到着した。
私は人混みの中を
小走りして改札に向かった。
ホソクさんは帽子を被ってマスクをして
だいぶ変装していたけれど
お姉さんはマスクとかも
何も付けていなかったので
お姉さんの顔を知っていた私は
すぐにホソクさんたちだと分かった。
私は緊張しながら二人に近寄る。
「は………初めまして……
イ………イム・モヨンと申します……」
ホソクさんとよく似た美人なお姉さん。
「モヨンちゃん、ダウォンです。
よろしくね。
ホソクから色々と聞いてます。
仲良くしてね?」
ホソクさんと同じく明るくて
優しそうだなと思って
少しホッとした。
それから3人で母校まで歩き
校舎を外から眺めた。
「モヨンちゃん
図書委員長だったね」
「そ………そうですね……」
「今も本の仕事してるから
一貫性あるよね」
「え?
モヨンちゃん本の仕事してるの?」
ホソクさんとお姉さんに挟まれた私は
ホソクさんに私の昔を振られて
隣のお姉さんも混ざってきた。
「あ……本の仕事って
編集とか大それたものではないですよ。
図書館で働いてるだけで………」
「モヨンちゃん
国立の大きい図書館にいるんだよ」
「え、すごい!!頭良いんだ!!」
「いやいやとんでもないです……」
頭が良い訳じゃなくて
単に本が好きなだけ。
ホソクさんに比べれば
私は才能もない
ただの地味な図書館司書だった。
「いや………ホソクさんの方が……
中学の頃からすごかったですよね」
「え?俺の事知ってたの?」
そう言われて
しまった!と思った。
私は実は友達の影響で
中学の頃からホソクさんのことを知っていて
ダンスをしている所を
何回も見に行っていた。
その頃から彼のぺンで
カッコいいな……と憧れていたのだ。
でもこのことは
私の中で秘密にしていたことで
私がその頃から知ってることを
彼に知られてしまったら
ストーカーだと引かれるのではないかと
内心怖かった。
「え…?あ………まぁ…………」
「え~ホソクのこと何で知ったの?」
ホソクさんのお姉さんが
興味津々で聞いてきて
どう答えようとすごく困惑した。
「え………あの………ダンス……ですかね……」
「あれ?
ホソクって学校でそんな有名だったの?」
「いや………そんなことないと思うけど」
あぁ、まずい……
私は焦った。
でも理由言わないと余計に変だし……
「あ………えっと………
友達が……ホソクさんのダンス見て
すごいって言ってて………」
「あ、そういうことね……」
ちょっとだけ嘘をついた。
きっかけは友達だったけど
彼を知ってからは
見たくて見に行ってたのだから。
「そのお友達さん通だね」
とりあえずは乗り切れてホッとした。