「僕はただの
好奇心旺盛なお節介おじさんだよ。

んーーーなんでかって言われたら……
昔から週刊誌をよく読んでたからかなぁ。

ほら、週刊誌って鵜呑みにはできないけど
現実的な事、沢山書かれてるでしょ?

何か新しい物を生み出す時に
現実社会を知らないと
的外れなことしちゃうからさ」




「なるほど……」




「それでまぁ
よく芸能スキャンダルとか目にしてて
芸能界って特殊だけど
すごくプライバシー守られてないなぁって
個人的には嫌だなって思ってたから………。

まずそこを何とかしてからじゃないと
彼の事も、ゆっくり考えられないでしょ?」







確かにそうだ。




記者に追われて
逃げる生活をしていては
自分の心も疲れてしまうし

ちゃんとした決断とか
行動はできなくなるだろう。






「そうですね………。
社長は……
今何か具体的な案はあるんですか?」




「んーーー。
まずバイトを辞める話をしてくる。
記者が嗅ぎ付ける前に早急に……。

それで今のアパートから
僕のマンションの空き部屋に移る。

とりあえずはまぁそうして……

僕も今日の今日だから
その後の事は今から考える事になるけど…」





「社長……マンションお持ちなんですね……。
でも…大丈夫なんですか…?
私なんかが行って……」

「全然大丈夫!
まぁ、小さいマンションだけどね。
落ち着くまで家賃も要らないし」


「いや、それはちょっと……」


「いいのいいの。
職決めるまで、騒動が落ち着くまでは
僕が面倒見てあげるよ」





社長は何故か嬉しそうだった。










「僕さぁ……
子供いないんだよ。
ホントは欲しかったけど
僕も妻も忙しかったから……。
なんか、君、娘みたいに思っちゃってさ。
お世話したくなっちゃって」





社長は少し照れ臭そうに笑った。





 

そうだったんだ……


社長が私の事を
そう思っていたと初めて知って
嬉しかった。




だから年の差はあるけど
今までフレンドリーに
話しかけてくれてたのか……。







「社長……
そんな風に思って下さっていたなんて
嬉しいです。ありがとうございます。

でも社長に甘えてしまっていいのか
ちょっと悩ましいですが……」




「申し訳ないけど
悩んでる時間はあまりないよ。
こうしてる間にも世の中は動いてるからね」


  


社長はお茶目でマイペースな感じもあるけど
冷静で状況把握が出来ている所もあって

そこからカリスマ性が伺える。






私はまだまだ未熟者で

こういう緊急事態にどうしたら良いかなんて
即時に考えることは出来なかった。



だから私は
社長の案に乗ろう
社長を信じようと心に決めた。









「社長………
助けてください……」