社長の車に乗せてもらうと
この間行った、社長の会社へ向かう。
会社に着くと
社長の言う通りに誰も居なくて
静まりかえっていた。
応接スペースに案内されると
やっと帽子を外す。
社長はコーヒーを持ってやって来て
「で、どうしたの?
あらら……結構泣いたね。
顔腫れちゃって……」
私の顔を見て驚いていた。
「すみません、お見苦しい姿を……」
私は社長を信用して
テヒョンくんとのことや
今の状況に関して
包み隠さず全て話をした。
社長は驚いた表情を時折見せながらも
暖かい表情で私の話を聞いてくれた。
「なんか大物と付き合ってるんだなとは
思ってはいたけど
そういう類いの大物だとは
思ってなかったから
ちょっと驚きだな………。
泣いてたし
怪しい格好してたから
何か犯罪に手を染めたのかと
失礼ながらに少し心配してたから
まぁ僕としては
助けようあるからホッとしたよ」
社長はたぶん芸能人と付き合ってた事は
本当に予想外だったんだと思う。
だけど
ちゃんと話を聞いてくれて
そしてそんなことを言い出すから
私が驚いた。
「助けよう……あるんですか………?」
「まぁ、考えは浮かんで来たけど
それには君の思いきりが必要になってくる。
今の生活を捨てる……」
「…………」
私は社長の言葉の意味を真剣に考え
それで口を閉ざした。
「まず僕が考える今やるべきことは…
君のプライバシーを守ることかな」
「プライバシー……」
「うん。
今も記者が君のことを
嗅ぎ回っているはずだ。
そしたら君の住んでいる所も
弁当屋さんも
全部探られることになるでしょ?
そしたら君はたまったもんじゃない」
「現にもうアパートから
記者に追いかけられましたし…。
でもどうやって………」
「どうするかは君の判断に委ねるけど
今のアパートから引っ越して
アルバイトを休むか辞めるかする。
じゃないと長い間、君が一番辛いよ?
どっちも僕がサポートしてあげるよ」
ジェントルマン社長は
どうしてこんなに
冷静に状況把握が出来るのだろう……
私は不思議に思った。
「社長は一体……何者なんですか……?
どうしてそんなに
先読み出来るのかと思いますし…
どうしてそこまで私に
良くしてくれるんですか…?」
私は素朴な疑問をぶつけた。