それからも毎日のように
その社長はお弁当屋に顔を出してくれたけど
なかなかタイミングが合わず
少し日が経ってしまった。
私はその社長の話が
ちょっと気になっていて
少しうずうずしていた。
「いらっしゃいませ~、あ…………
おじ………あ……社長」
「おじさんでいいって。
君さ、次休みいつ?」
「え……?」
「なかなかタイミング合わないからさ
都合的に大丈夫だったら
会社に来てくれないかな~と思って」
「あ……いいですけど……
会社………ですか…?」
社長の経歴とか
色んな話は聞いてみたいと思うけど
社長の会社に入るまで
帰らせてくれなかったらどうしようと
内心怖くもあった。
その不安が顔に出ていたのか
社長に
「会社だと嫌かな?」
と聞かれる。
正直に言うべきか迷っていると
「この前話した
僕の会社どう?っていう件も
もちろん話したいけど
それはまぁ重く考えて欲しくなくて
どちらかというと
君の話を聞いてみたくてね」
と彼は話始めた。
「私の話……ですか……?」
「うん。
僕若い子…しかも国が違う人と
あんまり話したことがなくてね。
ある人に
化粧品とか色んな人が使うものを売るなら
色んな人と話をすることが大事って
教えてもらったんだ。
化粧品の話をするんじゃなくて
若い人とただ話をして
感覚というか…
そういうのが分かるようになりたい
そう思ってるんだよ」
私は社長のその話を聞いて
きっと良い社長なんだろな……
この社長の下で
会社は
どんどん大きくなっていくんだろうな……
少しの時間でそういう勘が働いた。
私はこの社長の人柄がすごく気に入った。
「分かりました。
私でお役に立てるなら…」
「助かるよ~」
「では……明後日はいかがですか?」
「ん~と……
午前中はアポイントがあるから……
午後……15時くらいでどう?」
「大丈夫です」
「じゃあこの間の公園に
15時に来てくれる?」
「分かりました」
そうやって約束を交わすと
社長はいつものように弁当を買って
帰って行った。