「いやぁねぇ
君と話しに来てるようなもんだよ。
もちろんここの弁当が好きなのもあるけど
○○さんに会うのが
僕の気分転換になっちゃっててね」
「またまた~
嬉しいこと言ってくださいますね~」
「あ、ビビンバでよろしいですか?」
「それでいいよ」
私は弁当を袋に入れて手渡しをする。
「○○さんっていつお昼食べるの?」
「お昼の混む時間が終わったら
食べますよ」
「そっか~
じゃあ今辛いね」
「おじさんの美味しそうですよ~
もうホント~」
なんて言って笑った。
「じゃあまた来るね~」
「午後も頑張ってください!
ありがとうございました~」
ジェントルマンおじさんとの会話は
いつも楽しい。
今日も楽しく接客のお仕事をしていた。
お昼はだいたい13時半くらいには
混雑がおさまるけれど
オフィス街に位置するこのお弁当屋は
かなりの人気で
いつもほとんどが売り切れる。
1時間のお昼休憩で
午前の売れ残りのお弁当をいただいて
休憩が終わると
中のおばさんとお弁当作りをする。
運良く
そのおばさんも優しくて良い人だったので
バイトは本当に楽しかった。
料理上手なおばさんに
時折レシピを教えてもらったりして……。
テヒョンくんが家に来てくれた時は
毎度私のごはんが食べたい
と言ってくれるので
教えてもらった料理を
作ってみたりした。
「これバイト先のおばさんが
教えてくれたんだけど
どう…かな………?」
テヒョンくんは
目をキラキラさせて食べてくれた。
「んま!!これご飯進む~~!」
どうやら
テヒョンくんの胃袋を掴めたようで
バイトも役に立つな~なんて
なんとなくウキウキしていた。
「ヌナ~
バイトはどお~?慣れた~?」
テヒョンくんはムシャムシャ食べながら
そう聞いてきた。
「慣れたよ~
おばさんも優しいし
常連のおじさんとも仲良くなったし」
「誰そのおじさん」
「名前も分かんないけど
よく来てくれる人で…
白人の外国人なんだけど
韓国語もペラペラなの!
すごいgentlemanな見た目なのに
すごくお茶目な感じで…」
私はつい
ペラペラと話をしてしまって
テヒョンくんが機嫌悪くなっていることに
全然気づかなかった。