それからまた少し経って
日本でのプロモーションを終え
帰国する時のこと。
仁川空港に着くと
大勢のファンが出迎えてくれて
僕たちはそのファンにお辞儀をしたりして
対応していた。
その日は日曜日ということもあって
空港の混雑具合は今までで1番で
通路はすごく狭くなっていた。
この後はそのまま
翌日行われる
ペンミーティングの会場で
リハーサルの予定だったので
少し足を早めて
ぺンの間を移動し始めた。
すると
モヨンちゃんが
ペンを規制するフェンスの所に
いるのが見えて
彼女は僕に小さく手を振っていた。
僕は久しぶりに見る彼女に
思わず近づいて行くと
すごい歓声と共に
彼女の後ろの人たちが
彼女を押していた。
彼女が苦しそうにしていたので
僕が更に近づいて注意しようとすると
フェンスが僕に倒れてきた。
「うっ………」
僕は両足のスネを強打して
痛みで後ろに尻餅をついた。
すると
周りが大騒ぎになった。
彼女は後ろにいた人たちに
「あんたのせいでオッパが怪我した」
「責任とれよ!」
と罵声を浴びせられているのが分かって
僕はカチンと来た。
痛む足で何とか立ち上がると
「この子に
責任を擦り付けないでください…。
僕が見た限り
このフェンスが倒れてきたのは
後ろの方々が押したからです。
この子は苦しそうにしてましたよ。
僕が見た感じ
どちらかと言ったら
責任は後ろの方にあると思います。
責任は問いませんが
このようなことが二度と起こらないように
節度ある行動をお願いしたいと思います。
皆さんも怪我をなさらないよう
お気をつけて」
僕は怒りを極力抑えて
そうお願いをすると
マネージャーに支えられて
空港を後にした。
移動の車に乗り込むと
メンバーが
「大丈夫か?」
と心配してくれた。
足を見てみると
青紫色になっていて
思ったより酷いようだった。
打撲なので
大事に到ってはいないけれど
お尻の方も少し痛んでいたので
僕だけリハーサルをしない方向で
話は進んで行った。