帰りのバスの中。


モヨンちゃんからLINEが来た。




















僕は反って
有意義な休みだと思った。



ずっと気になっていたことが
分かったのだから。











僕はそう返して
 

バスに揺られながら
物思いにふけった。



















それから1週間。







僕は練習や収録の傍ら

彼女のことを考えていた。










彼女にどんな言葉を
かけてあげたら良いのか……




僕は悩んでも正解が分からなくて




僕なりの言葉をかけようと心に決めた。











姉から催促されて思い出して


モヨンちゃんの連絡先を教えたけど







僕はしばらくは
僕の方の仕事が忙しくなって

彼女に会う時間を作れずにいた。











そしてやっと時間が作れた時には
彼女の話を聞いてから
1ヶ月ちょっと経ってしまっていた。




今更また話を戻して良いのだろうかと
少し悩みつつ

彼女のいる図書館へ足を運んだ。











お昼のタイミングを選んで中庭に行くと
彼女は一人
隅っこでお弁当を食べていた。



 




中庭への入り口から顔を出して


「モヨンちゃん」


と声を掛けると






彼女はビクッとして








箸で掴んでいたミニトマトを
ころっと落としていた。









「あ……トマト………」


彼女の気の抜けた感じが

僕の目の前で転んでいた彼女と重なって

僕は思わずニヤけた。









そんな彼女を可愛いなと思ったけど

トマトを落とさせてしまったのは
僕のせいだから申し訳なくて




「驚かせてごめんね。
大事なトマトが……」




と謝ると



「トマトくらい大丈夫です」





落ちたトマトを拾って
僕に微笑みかけた。











僕は彼女の隣に腰掛けると
彼女の方を見た。







「久しぶり。元気だった?」








彼女は微笑んで



「元気でしたよ。ホソクさんは?」



と返してきたので
少し驚いた。









1ヶ月前よりも
明るくなったような気がした。










「俺はこの通り」


ニコッと笑って見せると

彼女も笑った。










「なんか明るくなった気がする。
何かあった?」





そう聞いてみると
彼女は嬉しそうに






「ホソクさんのお姉さんのおかげです!」

そう言った。









「ヌナが?」


「はい!
この前お姉さんが私と
デートしてくれたんです!
もう嬉しくて嬉しくて……」






彼女は前より笑うようになっていて
僕はホッとした。



傷をただえぐっていただけだったら
どうしようかと心配していたから……。










「俺のヌナと何したの?」

「お買い物に連れていってくださって
服も選んでくださって
可愛いスイーツのお店とか
女の子の気分を
沢山味合わせてくださいました!」







僕は姉らしいなと思った。




やっぱり女同士だからこそ
分かり合えるのだろう。




姉の行動は
彼女の傷を癒すのに効果的だった。