「あ、来た来た」



彼女の元に歩いて行くと

恥ずかしいのかモジモジしていた。







「どうしたの?」


そう聞いてみると





彼女は小さい声で


「ここに私以外の人がいることが
変な感じがして……」


と言った。








僕は彼女に微笑みながら


「ねぇ
どこに座ってお弁当食べるの?
地面座っちゃうの?」


と聞いてみた。







彼女は端に置いてある
コンクリートブロックを指差した。





こんな広い中庭の
わざわざ端の暗い所に座るなんて……

と驚いたけど



彼女らしいなと思って
僕はそのブロックに腰掛けてみた。







「え、硬っっ!!」



あまりに冷たくて硬いもんだから
叫んでしまった。







彼女は僕を見てクスクス笑っていた。









笑った彼女を初めて見て
僕はドキッとした。



可愛い……







彼女は僕の方にそっと近寄ってきて

もう1つのブロックを少し動かすと

僕から少し離れて隣に座った。








彼女は自分の太ももの上に
お弁当を準備し始めて


その様子をじっと見ていると






「ホソクさんのお昼は………?」


と僕の方を見てきた。






僕はお昼を持ってきてはいなかった。



ただ彼女と一緒に居たかったから
誘っただけで………





「ないよ」


「え?
私、1個しか持ってきてないですよ…!?」


「そんなの知ってるよ。
ただモヨンちゃんと
お喋りしたかっただけだから」


「え……でも………一人で食べるなんて……
なんか変ですし……
申し訳ないんですけど……」




彼女は首をすくめてそう言った。





「いいから食べてよ。
俺は後で食べるし。
お昼休憩終わっちゃうよ?」


「あ………はい……………」





彼女は無言でパクパクと食べ始める。





僕はその様子を膝に肘をつけた格好で
眺めていた。





美味しそうに食べる彼女を
可愛いと思った。