今は新曲の活動期間も終わり
少し活動が落ち着いている時期。





僕は休みの度に図書館に行っては
彼女にちょっかいをかけていた。







彼女の反応が新鮮で楽しくて
僕は仲良くなりたいって思っていた。












「モヨンちゃん」



「あ………また来たんですか…」



「だってここに来れば君に会えるでしょ?」



「………せっかくのお休みなのに………
やりたいことしないと
勿体ないですよ?」



「今やりたいことやってるから大丈夫」




そう笑って言うと


彼女はチラッと僕を見て
本棚に本を戻す作業を続けた。

 


少しだけ
彼女の口元が笑ったような気がした。













「今お仕事は落ち着いてるんですか?」


彼女から話を振られるのは初めてだ。





「うん。
この間モヨンちゃんが来てくれた
ラジオの収録で
タイトなスケジュールは終わったかな」


「そうなんですね。
ちゃんと休めてますか?」


「うん、大丈夫だよ」





彼女が僕を
気遣ってくれているのが分かって

僕の心はほんのり暖かくなった。


  









「そういえばさ
いつもお昼ってどうしてるの?」


「え…?
あ……お弁当食べてます」


「どこで?」


「休憩室とか……
天気が良い日は中庭で……」


「ここ中庭あるんだ!」


「はい。
人がいないので居心地良いですよ」




彼女が微笑んでいる様子から
その場所が好きなんだろうなと思った。



 
「俺も入れる…?そこ」


「入れますよ。あそこから…」



彼女は遠くに見えるガラス戸を指差した。






「じゃあ
お昼そこで会お?」



僕がそう言うと


案の定、彼女は



「え………?」


と目が点になっていた。







「それまで俺は本読んでるからさ」

「え………っと………」

「じゃあね」




僕は少し強引に彼女を誘って
その場を離れた。


















そしてお昼頃。


僕は中庭へ足を運んだ。






一面緑で覆われていて
隅に小さな花が咲いている。







そこにはベンチなどはなくて

僕は不思議に思った。





いつも彼女は
どこでごはん食べるのだろうか………






辺りをふらふらと歩いていると

入り口から彼女が現れた。