ユンギ視点
月灯りの夜の中に咲く白い花。
俺のココロに咲いていたその花はアナタだったんだ…。
🍀
秋も深まる頃。
今日、俺の通う学校は年に一度の学校あげての文化祭。
ここは美術部が主催する展示会場になっている。
一年生の俺はここで自由に絵を描かせて貰えることを条件に教室の番を自ら進んで立候補した。
先輩達や同級生は家族や友人、また恋人や番とそれぞれの時間を過ごしている。
俺の家族?
昔から忙しくて、ご飯も家族揃って食べた記憶なんてないし、三者面談も両親が来た記憶もない。学校行事もいつも来るのは祖父母や両親が雇ってる家政婦(夫)ばかりだった。
いつも一人だった俺は画用紙に絵を描いてる時間だけいつもココロが満たされていたんだ。
画用紙は中学で美術部に入るとキャンパスに変わり、もっと絵を描くことが楽しくて堪らなくなっていった。
そうして年を重ねても俺のココロには昔、両親と出かけた先で見た綺麗な月明かりの夜に咲いた白い花がずっとあった…。
yg「また、描いてもいいかなㅋ」
今日、教室に展示する作品を並び終えると誰もいない教室で友達へ話しかける。
キャンパス…それがずっと俺の一番の友達。
そして、アナタとの初めての出会いはそんな秋も深まる文化祭の日だった。
🍀
sk「ああ!むかつく!」
俺が一人、キャンパスに向かっていた教室の扉が乱暴に開く音と同時に教室の中に怒号が響きわたる。
yg「じゃあ、うるさいから出てってくれる?」
なんだアイツ、怒るなら他でやって欲しい。
それが、アナタへの俺の第一印象だった。
正直、早く他に行って欲しくて、そう言って声をかけてみたけど、そのときのアナタには全く聞こえていない様だった。
さっきここに入るなり怒号を発したアナタは、怒っていたのが嘘だったのかと思うくらい展示された絵画に夢中だったからだ。
yg「見るなら、ご自由にどうぞ」
静かに俺や先輩、部員達がココロを込めて描いた大切な絵を楽しんでくれるなら、それだけでいい。
そして俺はまた、一人キャンパスに向かった。
あの日、両親と一緒に見たココロの記憶の花をキャンパスに描く。
sk「花…」
微かで、そして透き通る様な綺麗な声…。
yg「…」
振り返ると、アナタは泣いていた。
俺のココロの中で、記憶の花が淡い光りを放つ。
yg「ここで、泣く人初めて見たㅋ」
この時の俺はまだホンモノの愛を知らなかった。
sk「なに…?」
このときのアナタは自分が泣いていることにも気付いてなかったなㅋ
アナタはほんとに、変でㅋ
可愛いくて、愛しくてㅋ
俺が初めて出会った人間らしい人だったんだ…。
yg「見てたいならそこ、座ればㅋ?また大声だしたらすぐ出てって貰うけどㅋ」
俺はまだ知らない。
俺の花が、すでに傍に在ったこと。
sk「さっきは、ちょっと考えゴトしててごめん。ここは凄く落ち着く…」
yg「そうㅋ」
俺はまたキャンパスに向かって筆を進める。
アナタはそんな俺と俺が描いていた絵を黙ってずっと見ていたよなㅋ
俺はまだ知らない。
でも、俺のココロの中に在るその花はもう知っていたんだ…。
俺はキャンパスに絵を描きながら、アナタはそんな俺と俺の絵を見ながら何気ない会話をしていたっけㅋ
sk「僕、キミの画が欲しい…」
俺はまだ知らない。
でも、俺のココロに在る花は知っていたんだ。
アナタのその言葉を聞いた時の俺が、どうして嬉しかったのかってㅋ
sk「僕はここの2年でキム ソクジン。キミの名前聞いてもいい?」
yg「俺はここの1年でミンユンギㅋ」
それは偶然だったのかㅋ
俺はこの日、アナタと…キムソクジンと出会ってしまったㅋ
俺の絵を買いたいと言ってくれたソクジンに、俺はお金はいらないからとアナタが好きな絵を一枚プレゼントした。
そのときの、アナタの嬉しそうに微笑む綺麗な笑顔は今でも忘れられないよㅋ
家族の愛を知らないまま育ったこのときの俺はまだ知らない。
恋も愛も…ほんとの幸せも…。
でも、俺のココロに在り続けていたその白い花は知っていた。
アナタが俺の花になることをㅋ
キムソクジン…。
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