過去30~40年程は、学力が非常に
重視され、現在では、かなりの割合の
方が大学を卒業されるようになりました。

その反面、若者の自己肯定感の低さや
やる気の無さが問題になってきて、
「生きる力」の育成が課題になって
います。

「生きる力」は、何歳になっても、何を
するにしても、その人のパフォーマンス
に大きく影響します。

では、「生きる力」の育成を優先させ、
学力はそれほど重要視する必要はない
のでしょうか?


特に、コンピューターなどのテクノロジー
により、現在存在する職業の多くが、
10年、20年以内には無くなってしまう
と言われています。今、勉強していたり、
トレーニングを受けたりしている知識や
技術は、5年先には、必要とされていない
かもしれないのです。

知識や技術が専門分野に特化していれば
している程、近い将来に必要とされなく
なる確率が高いそうです。

反対に、コンピューターシステムに置き換え
られない、職業を見ていくと、複数の分野
にまたがるコミュニケーションが必要と
されています。他にも、創造性などがあり
ますが、コミュニケーション力は必須です。

ここでポイントなのが、「複数の分野に
またがった」コミュニケーションです。

私たちはよく、せっかく勉強した化学や
数学、その他もろもろの知識なんて、
社会に出てから使う機会がない、と思って
いるかもしれません。

しかし、日本語や英語だけでなく、数式、
化学式、楽譜、これらもすべて「言葉」
であり、会話の内容、伝える相手などの
条件によって、適した「言葉」を選ぶ
能力が、コミュニケーション力です。

例えば、コンピュータのソフトウェアを
つくるのに、プログラマーは、コンピュー
ターのことが専門でない人と話し合い、
その人の要望をソフトウェアに反映させ
なければなりません。依頼主との話し合い
で、プログラミングの専門用語を使っても
会話は成り立ちませんから、自分の仕事
はプログラミングであっても、語学や
ビジネス、その他の知識は必要になります。

専門の知識や技術だけでなく、その他の
分野に関する「教養」は、コンピューター
が専門分野を担当する割合が大きくなる
将来、もっと重要になってきます。

「教養」は専門知識と違い、今すぐ、目の
前の仕事に役に立つわけではありませんが、
蓄えられた量によって、人生のあらゆる
場面で、選択肢が広がるのは明らかです。


子供には、「教養」を身につける必要性が
理解しにくいとは思いますが、例えば遊び
の中でも、積み木で高いビルをつくる時
には、それを「プロジェクト」と見立て、
建築士、依頼主、不動産やなどの役割を
演じながらやってみるといいでしょう。

同じ一つの作業を、いろいろな視点から
見て、いろいろな意見を出しながら、
どの立場の人も納得できる解決策を
見つける練習をするのです。

どの専門分野に進出する場合でも、「教養」
の有無は、その人のパフォーマンスに
大きく影響します。