プイアッティ:プイアッティ ビアンコ NV その3 | 古きイタリアワインの魅力を読み解く

古きイタリアワインの魅力を読み解く

イタリアンワインガイド ガンベロ・ロッソ 1988-1989
イタリアワイン界に多大な影響を与えるガンベロ・ロッソ Gambero Rossoですが、この初期(1988や1989当時)のレアなイタリアワインと古酒の数々を、掘り下げて解説します。

Vini d'Italia 1989 Gambero Rosso Vol.24

Puiatti-Puiatti Bianco S.A. その3

 

但し、繰り返し書きますが、この時代Puiatti Biancoのスタイルは受け入れらえなかった。今でもぶっ飛んでいると感じますが、当時は更に保守的でした。

私もオンリストしましたが全く動かない状態(当時はChバリック等が全盛時です)で継続購入を断念。売りやすいArchetipiに絞っていた次第。残念、今ならまだお客様にお勧めする事も出来ましょうが、この当時はまだ私の力量不足だったのです。他の店舗のソムリエ仲間も取り扱いに苦労していました。

そのせいなのかどうか。当時このスタイルを是としたVini d’Italiaも翌年のガイド1990を最後に、Puiatti BiancoのTreBicchieri獲得を記載しなくなります。1989獲得時と1990の『前年TreBicchiei獲得ワイン』の記載は確かに残っていますが、以降、今日まで記載が見当たりません。2007年版のVini d’Italia20周年号(1988~2007TreBicchieri獲得ワイン全ガイド)にも記載が無く、Puiattiの欄にはCollio Sauvignon 1988とCollio Sauvignon Archetipi 1988のみしか書かれていません。つまり、TreBicchieriの歴史から姿を消したのです。

このワインに関する現存資料は非常に限られており、当時の事情を知るワイン従事者しか知らないワインとなってしまいました。

 

印象は非常に分厚い白。但しアルコールが高くなく酸がたっぷり残っている。奥行きがあり懐広く、咀嚼できる白です。

どこにも樽のニュアンスは全く無く(醸造・熟成過程でどこにも木を使っていないから当然か)、還元香や酸化臭も無い。

ヴィンテージを想像させる液体要素・手掛かりが全く無い白とは奇妙でした。何か、そのワインの前に立って茫然としていた感触を覚えています。

同様の造り方をされた赤ワインでOpera Prima/Roagna(Piemonte)が頭に浮かびましたが、それでも随分違いますね。むしろコトーシャンプノワやサランと同様なニュアンスなのですが、圧倒的にPuiatti Biancoの方が分厚い。こんな変わり種の白、又巡り合いたいものです。

 

«Avere un’identità vuol dire scegliere. Dimmi cosa bevi e ti dirò chi sei»,

『アイデンティティーを持つという事は(人生において)選択を行っているという事だ。

どんなものを飲んでいるか言ってみたまえ。君がどんな人間であるかを言いあててみせよう』

ブリア・サヴァランの引用ですが、上記がGiovanniのモットーだそうで。

その問いには『もちろん、あなた方のワインです。親父さんの代から』と答えます。さて、この答えにどの様な反応をするか?その反応と物言いであなたがどんな人間であるかを言いあててみせましょう。いや、言い当てるまでもないですか。ぶっ飛んだ人です。

 

最後に、かつてのVilla Parens HPに掲載されていた『不使用になった樽の有効活用写真』を載せました。

やれやれ。

 

この項 了。