Vini d'Italia 1989 Gambero Rosso Vol.04
Az.Agr.Rivetti(La Spinetta)-Moscato d’Asti Bricco Quaglia 1987 vol.1
Vini d’Italia1988でご紹介したBricco Quaglia1986。今回は1987のご紹介です。モスカートながら、2年連続のTreBicchieri、流石Moscatoの第一人者ですね。畑の解説も踏まえて分析してみましょう。
La Spinetta(設立:1977年)正社員数:65名、うちワイン畑従事者:50名、
創始者:Giuseppe Rivetti、(先祖:Giovanni Rivetti 1890アルゼンチンから移住)、
現当主:Bruno, Carlo & Giorgio Rivetti、
統括エノロゴ:Giorgio Rivetti、
アシスタント:Andrea Rivetti、Stefano Mazetta、Mirko Bessi.
アグロノモ(畑担当):Carlo, Marco, Giovanna&Eleonora Rivetti、
Moscato d’Asti Bricco Quaglia, Castagnole delle Lanze(Piemonte),
生産初年度:1977~、
生産本数:110,000本(2015)、
ブドウ品種:Moscato100%、
畑名:Bricco Quaglia、
畑土壌性質:石灰質&砂質、
畑海抜:300m、
畑面積:8.5h(1995)→20,0h(統合後/2015現在)、
畑展開方角:南西~南~南東だれ、
平均樹齢:33~38年、
栽培方法:Guyot、
密植度/h:6500本、
resa:60qli、
特記事項:農薬&除草剤不使用、
ファーマ容器:アウトクラーヴェ、
ファーマ日数:1か月(ロースピード・ファーマテーション)、
ファーマ温度:15℃、
マロ:実施しない、
熟成容器:INOX、後、ボトル内、
瓶詰:収穫年の翌1~4月、
清澄:カゼイン&ベントナイト、他、滅菌ろ過、
総酸度:7.0%、
残糖度:120g、pH: 3,3
1977の会社設立後の7年間はMoscato造り、特にMoscatoにクリュ概念を取り込みました。1985年に初めて赤ワインのBarberaを、その後は順調に多種の赤ワイン生産を拡大しつつ、2000年にはBarolo地区、2007年にはToscanaへの事業拡大を行い、2011年に隣村の会社『Contrattto』を購入し、管下に置きます。
オールドファンは覚えていらっしゃるかも知れませんが、実はLa SpinettaのMoscato d’AstiはB.Quaglia(8.5h)と Biancospino(6.8h)以外にも3種類を生産・販売していました。
Bric Lapasot(3.5h)、Muscatel Vej(1.2h)、San Rümu(5.0h)、併せて5種類のMoscatoクリュです。
彼らのポリシーは『ワインの出来の90%は畑仕事で決まる』。
製品化すれば微細な違いかも知れぬが、畑の状態はこれだけ違うのだからクリュ毎に仕込むのは当然、との考えの上にビジネスが成り立ち、若干特殊な製法なのでクリュ差が出にくいMoscatoでさえこれだけのクリュ仕込みを行ったのだから、Barbaresco4種、Barolo2種、Barbera3種などは何の疑問でもありません。むしろそれらの気質が根底にあるからこれだけのビジネスに発達したのだと思います。Moscatoクリュは確かに微細に及び過ぎ、それぞれの質の向上と共に我々ソムリエでもその差が判別出来なくなるほど味わいが磨かれ、結果評判の良かった2種Bricco Quaglia(20.0h)、Biancospino(18.0h)に統合され、更に拡張されますが(どのクリュにどのクリュが統合されたのか分からず)、その考えは脈々と現在の子孫にも引き継がれていますね。
本家のイメージを守りつつ、量産品は他地方・他社に求めるやり方もGajaと同様に上手い戦略だと思います。Asti Spumanteの製造を敢えて行わなかったのは正解ですね(記憶の限り、見た覚えはありません)。
但し、La SpinettaのAsti、もし製造されたらさぞかし美味かっただろうな、それでNataleを乾杯したかったなあと想像しますが。
次回でBricco Quagliaをまとめます。