Vini d'Italia 1988 Gambero Rosso Vol.78
Distillati&Liquori di Gualtiero Marchesi
Grappa di Bukkuram-Moscato Passito di Pantelleria、G.Bertagnolli
週に一回のマルケージバーワゴン&バー棚紹介。今回はGrappaです。
マルケージでは、オンリストと裏メニュー併せて約100種類ほどのGrappaとDistillati di Uvaを取り扱っていました。
一本ずつご紹介してもキリが無いのですが、まずは一本紹介します。
Grappa di Bukkuram Moscato Passito di Pantelleria- Marco De Bartoli-G.Bertagnolli
9月10日(Vol52)でご紹介したDe Bartoli。彼のもう一つの看板ワイン、傑作デザートワイン”Bukkuram”のグラッパです。Bukkuramに関しては皆さんご存知でしょう。ワイン説明は飛ばしますがテクニカルシートは載せておきます。
Zibibbo、De BartoliのBukkuramのVinacce100%、保冷車とフェリーでPantelleria~Trapani~Genova~Mezzocorona(G.Bertagnolli場所)。バンマリー・単式(非連続式)蒸留、40%Vol。
Bertagnolliは1870年創業、AAのMezzocoronaに会社を構えています。イタリアにおけるグラッパの父Tullio Zadraの薫陶も受けており、上記の古い蒸留メソッドが得意ですが、その分、原料の風味が残ったGrappaを造らせればイタリア屈指のメーカーです。日本には未輸入でしょうか?
グラッパのキャラクターは単品で飲んでも分かりにくい。なので良く理解する為にはその場で比較する事。比較対象が多ければ多いほど見つかる発見は多く、マルケージのグラッパワゴンから10種程をまとめてご所望のお客様も多かった。三度ほど全種を頼まれた事もあります。Distillati di Uvaはブドウの実全てから造られるので、厳密にはGrappaとは言えませんが、そのDistillati di Uvaまで含め約60種類。1グラス40~50mlでのサービス。この時代にはまだ生産されていた幻のGrappaも多く、一つ一つを丁寧に解説しながら注いでいく事は私にも勉強になりました。但し、こちらも注ぐ前に若干試飲をしながらサービスするので、流石にへろへろになりますが。やはり糖度が高く、Vinacceにも糖分が残っているデザートワインのグラッパは面白い。ワインやブドウのキャラクターがしっかり残存しているので、鮮度に留意しながら輸送された、真面目な生産者の真面目なワインの真面目なGrappaには心が躍ります。これはバリックはかけておらず無色透明。粘性は中程度。まず薫りと味覚にしっかりと甘さが乗っています。ベースのVinacce、Moscatoのキャラクターが残っており(直火式まではいかずとも)単式蒸留の良い面が出ています。
Grappaにはワイン生産者の自社経営或いは近しい者にお願いをして製造されたいわゆる自社物と、大手GrappaメーカーにVinacceを売却し製造された物の二種があります。稀に一つのVinacceで両方のタイプが生産されていますので、比較するとよくわかりますが(Grappa Sassicaia参照)、自社物はどうしてもワインのキャラクターを残した、手を緩めた蒸留になりやすい。そのGrappaを開封後長期に常温保存すると残存成分の為に(樽熟成していないのに)液体が褐変しやすく、違う味わいに変化しますね。それはそれで趣がありますが、欠点でもある。特にLevi(いつか書きます)。Leviの美味い理由は供給されるVinacceの質の高さと手作業による蒸留の手加減さ、ある種の甘い手加減ですね。但し本当に褐変しやすいので、もったいないですが、開封後は早めに飲み切りたい。
このBukkuramは元来のVinacceの力と、巨大Grappaメーカーの作では無い手作り感が良い加減で合わさったと思います。今でも間違いなく入手可能で非常に出来が良い事は明快。一方はオーストリア近く、片やチュニジア近く。1500㎞を結びつける一本のGrappa。
ロマンですね。
次回へ