ブルーノ ジャコーサ:バルバレスコ サント ステファノ ディ ネイヴェ 1983 その1 | 古きイタリアワインの魅力を読み解く

古きイタリアワインの魅力を読み解く

イタリアンワインガイド ガンベロ・ロッソ 1988-1989
イタリアワイン界に多大な影響を与えるガンベロ・ロッソ Gambero Rossoですが、この初期(1988や1989当時)のレアなイタリアワインと古酒の数々を、掘り下げて解説します。

Vini d'Italia 1988 Gambero Rosso Vol. 69

Bruno Giacosa-Barbaresco Santo Stefano di Neive 1983 その1

 

Santo Stefano di Neive(Castello di Neive所有畑)

Albesaniのサブクリュ名。Casa Vinicolaラベル(買い上げブドウによる生産)。初年度:1958~、年間生産本数:9000~12000本、契約耕地:6.72h、南西~南だれ、220~250m、石灰質、粘土・ローム質、栽培方法:Guyot、密植度/h:3500本、平均樹齢:20~50年、Resa:65qli、

マセ&ファーマ:IONX&樽、発酵温度:28度(自然)、温度調整無し、醸し:20~30日、熟成容器:5000~10000l、フランス産オーク、GAMBA製(伊・Asti)、熟成期間:3年から15年(最低3年樽熟、Riservaあり)、清澄:卵白。

 

※日本では彼のRiservaを赤ラベルと表現していますが、イタリアでもB.Giacosaに関しては赤ラベル(Ethichetta Rossa)で通じます。

ノーマルは白ラベル(Etichetta Bianca)でOK。

ラベルの色を言うだけでそのワインの格を理解できてしまうのはBruno Giacosaくらいでしょう。

それだけ皆が偉大と認めており、認知されているという事です。

 

外国のバイヤーや評論家がBarolo、Barbarescoの解説で突き当たる壁が、

① ドメーヌとネゴシアンの区別が無い事。

② 折角のドメーヌ物でも『生産者元詰め』とラベルに明記されていない事

③ 古くから①②の区別を付けない慣習が根強く残っており、結果、自社畑のブドウと買い付けブドウを混醸し、且つワインとして販売している例が非常に多い事。

④ 古来から①②③を踏まえ、生産且つ販売されたものがBarolo、Barbarescoであるという事。

⑤ ①~④の情報がまとめられておらず、ドメーヌ、ネゴシアン共々に広報などが不得手で、詳細な情報が配信されない事。

上記5つです。

 

Bruno GiacosaはCasa Vinocolaが買いブドウ、Az.Agr.Fallettoがドメーヌブドウと区別していますが、当初は外国のバイヤー(日本も含め)は『CasaVinicolaとは何ぞ』という基礎知識が無く、イタリアにおいて単なる『生産者を指し示す言葉』の一つだと思い込んでいました。

余りにも見事なB.GiacosaのBarbaresco Santo Stefano(と伝説のBarolo Bussia)が、よもや買いブドウのネゴシアンボトルだとは誰も想像しなかった。後年Az.Agr.Fallettoが発表され、同時にBruno Giacosaから漸く両者の違いを説明されて、Santo Stefanoがネゴシアンボトルだと気づき、諸外国の評論家が、『買いブドウでこれだけの高品質なのか』と揃って腰を抜かしたという伝説があります。

 

自社ブドウ(ドメーヌ)物と買いブドウ(ネゴシアン)物にはっきり分類して販売し、更に両者の区別が出来ないほど良質だという生産者は、Giacosaぐらいではないでしょうか?元来WEB情報発信は不得手又は無頓着又はちょっと秘密主義のピエモンテ(GajaのHPって知ってますか?)。まだまだ一般的で無かったGambero Rosso1988の出版時を含め、イタリアワインの紹介が世界に発信された時、外国のバイヤーや評論家がとまどうのも無理有りません。

 

次回、もう少しBruno Giacosaを掘り下げましょう。