エドアルド ヴァレンティーニ:モンテプルチアーノ ダブルッツォ 1977 その2 | 古きイタリアワインの魅力を読み解く

古きイタリアワインの魅力を読み解く

イタリアンワインガイド ガンベロ・ロッソ 1988-1989
イタリアワイン界に多大な影響を与えるガンベロ・ロッソ Gambero Rossoですが、この初期(1988や1989当時)のレアなイタリアワインと古酒の数々を、掘り下げて解説します。

Vini d'Italia 1988 Gambero Rosso Vol. 5

 

Valentini-Montepulciano d'Abruzzo 1977

 

 マルケージではTrebbiano92, Cerasuolo94, Montepulciano90をオンリスト。

 私はワインの印象を想像する時、様々な要素を円グラフ化し、その円グラフを底辺として、年変化の許容具合や、(時にはワインの価格などの)満足度を数値化して高さを与え、全体を多角錐化した後に、その高さの場所ですっぱり切り、その断面積の広さと形をイメージします。Valentiniの印象はいつも円。白ロゼ赤どれを飲んでも限りなく正円に近い。視・薫・味、全てのバランスが秀。底なしの深さ。年代と熟成度合い、そのボトルの値段(その値段に納得できるかどうかー例えば価格0、熟成度合い許容・イメージ通りなら満足度100で断面積最大に)によって、多少断面積の大小が見られますが、何せ、ヴィンテージの成否がほとんど無く、味のばらつきが無く、しかもどの年も美味いワインはこの他に無し、と断言したいくらい。

 

 イタリア固有の葡萄品種、そして何より土着葡萄品種としてしばし多産されている地酒的な存在のこのワインを、ここまでの品に磨き上げた事に驚愕します。葡萄も人も全てこの世に平等に生を受け、様々な生い立ちや努力を経てワインや大人になるのだと。血筋?遺伝?関係ない。良かれと思った事を全て実行すれば、皆こんな形になるのでしょうか?

 

 最近の味わいはエドアルドが逝去した影響というより、温暖化による気候変動の影響が強いのでは。糖度とアルコール度数が上がり、若干酸がぼやけると感じるのは、作られた環境とこちらが飲む環境の変化のせいでしょう。まともにワインも作れない・飲めない気候になるとは、なんとも悩ましい(特に最近のイタリア白の味わいの変化-酸味が足りず甘さが増え、アルコールが増え苦味が増した-には、正直この先、イタリアで真っ当な白を作り続ける事が出来るのか、と危機感を覚えています)。

 

 白は90、赤は前日に書いたL’Ami Bertonで飲んだ85がベストと思っているが、気のせいかも。何せ熟成しても美味い。ただ味がこなれるのみ。チェラスオーロはいつ・どれ飲んでも美味いし。

 

 肩入れしすぎですか?段ボール箱を眺めてにやけるくらいだから、まあ仕方なし。

 

書き足りないが次のワインへ。 

では次回。