ダディとマミィと子供たち -25ページ目

ダディとマミィと子供たち

~エチオピア人と国際結婚遠距離生活
家族の日常とエチオピア話・国際結婚あれこれを短編で書き綴る~

近所に息子の2つ上の学年の女の子(以下Aちゃん)がいる
フィリピンのハーフの彼女は手足が長くスラーっとして目が大きく美人だ
3人兄弟で彼女は長女である。1つ下に長男(B君)・現在2歳の次男(C君)がいた
近所の公園に娘を連れて行くとよくAちゃんがいた。Aちゃんは1歳弱のC君の面倒を見ていた
友達と遊びながらC君を見ているときもあった
昭和の日本は上の子が赤ん坊をおんぶして面倒を見るという光景もあったろうが、現代では上の子が下の子の面倒を見て外に連れ出しているという光景はそうそう見ない
Aちゃんを見ると大抵はC君をいつも連れていた

Aちゃんは良く面倒を見ていたが彼女自身まだ小学生だ。自分が遊びに夢中になりC君から目を離すことも多かったので、長女とさほど年の変わらないC君に私はハラハラした
いつもビックリしたのはC君の服装だった

Tシャツと紙オムツにサンダルだった

かなりの確立で紙オムツ丸出し
おぼつかない足取りですぐ尻もちをつくためオムツもTシャツも汚れていた
でも小学生のお姉ちゃんに出来るのは面倒を見ることで100%、それ以上はいくらなんでも無理だろう
私はいつも偉いなぁと感心していたが、それと同時にこの子達の母親は何をしているのだろうと思っていた

ある時Aちゃんが友達と遊び、C君の面倒を見ながら友達にこう言っていた
「この子の前にもう1人2歳の弟がいるんだ。でもお母さん子供が多くて大変でしょ?だからフィリピンに置いてきてフィリピンにいるんだぁ」
子供は純粋である
ただ単純に母が大変だからと母を思いやっている言葉だった
隣で私は娘をブランコに乗せながら切なくなった

私は30歳、ブランコを揺らし我が子をあやす当たり前の光景だ
私が日常で子育てに追われストレスを感じている一方で、Aちゃんは母の言うことを聞き弟の面倒を見、友と遊び、両立している
ため息の出る育児を、まだ11歳の彼女に荷が重いのではないかと心配だった

B君はウチの長男と仲が良く、時折ウチに遊びに来ることがあった
夏休み、2人がウチで遊んでいると”ピンポーン”美人なAちゃんが1歳のC君を連れて遊びに来た
ウチの長女も加わり5人で仲良く遊んでいた
そんなことが多かったのだが1度もその子達の母親を見たことがなかった
今は私達が子供の頃と違って突然行って遊ぶとか、学校帰りに寄って行くとか、まずない
大抵電話で確認してから遊びに出るか、低学年の内は車で送って行き親御さんに挨拶し、子供にお菓子を持たせる
だから何度も遊んでいる割に1度も母親を見たことがない友達は初めてだった

学校帰り長男はB君と遊ぶ約束をして来る
帰宅するなり行ってくる!とB君宅へ
数分後
「遊べないって・・・お母さんがダメだって」と落胆して帰ってくる
これが毎回になった
「いい加減遊ぶの諦めたら?」と私が言っても暇があったら遊びたい息子は言うことを聞かず、もしかしたらの確立に期待をかけては毎回ことごとく遊べなくなって落胆していた(笑)
そしてまた約束して帰って来た
しばらく待っても息子が帰ってこないので様子を見に行くと、B君宅の庭先で息子がウロウロしていた
「何してんの?留守なら帰ってきなさい」
「いるんだよ!!家に!!ピンポンしても出ないんだよ!!」
「じゃあ、もう1回押してBく~んて呼んでみな」
ピンポ~ンBく~ん・・・声は聞こえるが応答なし
「もう帰るよ!」
息子はべそをかいている(笑)
そこまでして遊びたい気持ちが分からん!

先日洗濯物を干しているとベビーカーを押した母親が子供を怒鳴りながら家の前を通って行った
見ると怒鳴られていたのはB君だった
あ!あの人がB君の母親だったんだぁ・・・
その人は息子が保育園に通っていた時、よく見かけた人だった
大抵周囲を気にせず怒っていて、眉間にシワの入った表情をしていた 
保育園の遠足があったときの事、シートを広げてお弁当を食べていると
急にカナキリ声が聞こえ、皆が見ている中子供の頬を思いっきりビンタして子供が泣いていた・・・あの時の母親・・・
それ以来その人を見るとものすごく嫌な気持ちになった
あの遠足のときビンタされたのはB君だったんだ・・・

AちゃんとB君は最初の夫の子
C君は今の夫(ネパール人?)の子だそうだ
家の中は散らかって酷いようで、常に母親が怒っているそうだ

久しぶりにAちゃんを見た
あの可愛く純粋そうなAちゃんの面影はなかった
ほんのしばらく前まで可愛らしさのあったAちゃんは
体操着の上着の前とズボンの裾のチャックを大きく開け
ヘルメットのあご紐を止めずダラリと垂らした状態で
何しろ目の色が違い輝きがなかった
次ぎ合うときにはもっと変わってしまっているだろう

遅かれ早かれこうなるだろうとは思っていたけれど
ダイヤの原石のようだったAちゃんに何とも言えず悲しい気持ちになった

早い反抗期なのかもしれない
けれど早い反抗期にならなくてはならなかったAちゃんの心境を思うととても胸が痛む
子供はどんな風にも変わる
良くなるのも、悪くなるのも早い
反抗期のきっかけは親次第である

チャックやヘルメットを締めずにいる姿に私はAちゃんのやり場のない怒りを感じた

あの母親が自分勝手にならずに子供の心と向き合ってくれるよう願う
それ以前に子供の心の悲鳴に気付いてやって欲しい
そしてその悲鳴の原因が自分にあるのだと気付くべきだ

今ならまだ間に合うだろう
今を逃したら
Aちゃんはあと2年もしたら中学校に来なくなっているかも知れない

親も1人の人間だ
面倒な時も、投げ出したい時も、自由になりたい時も、失敗する時も大いにある
けれど今の自分から子供を失ったらどうなるだろう
何が残るだろう
この子が生まれたことでどれだけ学び自分が変われただろう
どれだけ我慢強く、愛情深くなっただろう
自分の思った通りに行かない子育てや人生
人のせいにして逃げるのは簡単だ
しかし残念なことにどんな親の元に生まれても
子供はそんな親に振り回され、付いていくしかないのである
今日帰って眠る場所はこの家しかないのだ
子供にあたってしまうこともある
怒鳴ってしまうこともある
けれど一方的に怒らず怒ったのと同じだけ抱きしめなくてはいけない
子供に素直にごめんねと言えなければいけない
愛に飢えている子供は目に見えて分かる
そして気付いて欲しいからと可愛こぶったりせず
大抵はその反対の行動に出る
愛が憎しみに変わるのを知るのは反抗期だろう
親を愛しているからこその悪態だ

Aちゃん今のあなたの手段はそれしかないのが残念だ
弟の面倒をよく見ていた優しいあなたが内側にいることを知ってるよ
苦しかった分人より勉強できていると思えたらいい
自分の考え方次第でましになることに気付いて欲しい


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