翌日。朝早くインターフォンが鳴る。

俺「誰や？」

奴「来たか」

『○○リサイクルです』

俺「はい？」

朝からやって来たのはリサイクル屋の店員。

奴「こっちの方が速いやろ。お客さん繋がりで呼んどいた」

『ピンポーン』『○○屋です』

俺「はい？」

奴「こっちも呼んどいた」

休日の朝。立て続けに来る買取り業者。

どうやら(奴)が全て手配していた。

昼前には、ほとんどの物が無くなった。

俺「いつ、連絡してたんや？」

奴「普通に昨日、片付けながらやけど。この前、ボランティアでゴミ屋敷の片付けしてな。その時に作っておいたコネやな」

俺「…。」

奴「さて、残ったものは金にならへん正真正銘のゴミや。捨てに行くぞ」

まさかの半日足らずで部屋から1/3の物が消えた。

相変わらず段取り良すぎやろ…。

俺「さてと…。ゴミ処理場行くついでにラーメン食いに行くか」

奴「アホか。買うものあるやろ。テーブルと本棚どーすんねん」

俺「え？いやいや、たった今処理したところやん。減らしたのに増やしてどーすんねん」

奴「お前、ミニマリストになるんやろ？」

俺「お、おう。だから片付けたんやけど…」

奴「お前…。ミニマリストは『なんでもかんでもモノを減らす人』やと思ってるやろ？」

俺「そうじゃないん？」

奴「違うわ、アホか。ミニマリズムってのは『自分に必要なモノを大事にする生き方』や。減らせばいいわけじゃない。そんで、増やしたらダメって訳でもない。むしろ必要なモノは増やせ」

俺「そうなん…」

奴「必要なモノは3つ。『①金を生み出すもの②時間を生み出すもの③ポジティブになれるもの』や。だから仕事関係のモノには手をつけなかったやろ？」

俺「思いっきり過去問捨ててたけど」

奴「アレはガチでいらん。本当なら過去の資料関係も根こそぎ捨てたかったけどな。俺には必要ないし。でも、お前には必要かもしれん。仕事道具は金を生み出すものや。だから手をつけてない。ってか、残す捨てるの基準をしっかり考えないと、また同じ様にモノで溢れるぞ」

俺「…。」

奴「ほなら本棚とテーブル買いに行くぞ。金は充分あるやろ？ラーメンはそれからや。ラーメン代のせいで買いたいもの買えへんとかアホすぎるからな」

俺「お、おう…。何か…久しぶりに優しさを感じたわ。ありがとうアンパンマン」

奴「なら、ラーメン代残せよ」

俺「先に謝っとくわ。ラーメンがあんパンになったら、すまん」

奴「百歩譲ってカレーパンやろ」

ミニマリストになりたい⑤