昭和37年に刊行された小説 『赤いダイヤ』:梶山季之著 の中に排出量取引を予言しているようなものがある。
振興外貨(リテンション)あるいは「マル特」と呼ばれた特別割当外貨のことである。
戦後の日本では極端に物資が不足していて、輸入に規制があった。
そんな中で輸出をしている企業への優遇措置として、輸出金額の5%分を輸入に使える権利として
紙切れで渡していたのである。
輸出企業にとっては何の意味もない紙切れだが、輸入業者にとっては重要なものである。
自社の輸入枠を拡げるために競ってこの紙切れを奪い合い、価格が上昇していった。
「権利を金で買う」=排出量取引と同じ構図である。
赤いダイヤにならって、排出量取引をグリーンダイヤと呼ぶ。