コーヤセラピューティック社が開発中のCOYA302がALSの進行を止める新治療候補として今後、関連記事やニュースで注目されることが多くなると私は見ています。
COYA302について、昨年5月にアメリカの同病の友人からも期待大だと聞いていましたが、未だ足が長そうだということで僕としては様子見の対象で、当時よく調べていませんした。しかし先日の同社のプレスリリースによって一気に優先順位が高まりました。FDAが本腰を入れ開発促進を支援しようという動きが読み取れます。これまでの治験結果やバイオマーカーの結果から大きな効果が見込めることから、FDAとの昨今の話し合いで本年上半期中に第2治験の開始申請をすることが決まったのです。これは今後COYA302の開発が一気に加速することを意味します。
この3日間COYA302について調べてみました。関連記事、開発研究者や同社経営陣のプレゼン、そして制御性T細胞(Treg)とは?等々。同社ホームページを見ると、開発研究アドバイザーにスタンリー博士や、大阪大学の坂口志文教授も同社のメンバーになってることがわかり、ポジティブに驚いた次第です。
調べれば調べるほど、COYA302が、ALS治療のゲームチェンジャーになることに間違いないという結論に至りました。ゲームチェンジャーとは、これまでの状況を塗り替え一変させる新治療ということです。
当方の結論の背景ですが、以下の通りです:
1、 FDAが当該治療の開発促進に乗り出している。
2、これまでの治験結果が臨床的にも、バイオマーカーにおいても効果が明確である、
3、この治療方法が何故効くのかといったメカニズムがしっかり示されている、
4、ALS の原因が定義され、開発の背景や今後の道筋もはっきりしている
5、経営陣、研究者が信頼できる顔ぶれ、話を聞いても説得力がある
6、シニアアドバイザーにTreg研究の第一人者の大阪大学の坂口志文教授がいる
7、制御性 T 細胞 (Treg) が自己免疫性疾患に関わっていること(過去の記事で書きましたが、ALSは自己免疫性疾患と大きくかかわっていると僕は思っています)。
これまでの治験結果ですが、対象患者は48週間連続で治験治療を受け、治療期間中の一年間、臨床的にもALSFRSスコアにおいて低下が見られず、全員の進行が停止したようです。安全性と忍容性、Treg機能、酸化ストレスと炎症の血清バイオマーカーも全て改善したようです。
COYA302の開発の背景として、スタンレー博士は、検査の結果、ALS患者のTreg機能が著しく低下していることが判ってるといいます。運動ニューロン死には細胞の炎症が起因しており、Treg機能が衰えると炎症が進み、運動ニューロン死に至ると説明します。Tregを増強させることで過度な異常炎症が抑えられることを確認したと言い、それがこの治療のメカニズムと理解できます。
同社ホームページにある説明では「COYA 302は、制御性T細胞(Treg)の抗炎症機能を強化し、活性化された単球とマクロファージによって引き起こされる炎症を抑制することを目的とした二重の免疫調節作用機序を備えた生物学的療法とあります。独自の低用量インターロイキン 2 (LD IL-2) と CTLA-4 Ig で構成され、ALS 患者の治療のための皮下投与用に開発されています」。
同社ホームページの情報の和訳を続けます。
「COYA 302 は、低用量の免疫シグナル伝達分子インターロイキン 2 (IL-2) と CTLA-4 Ig (アバタセプト) と呼ばれる融合タンパク質を組み合わせた実験的アプローチです。IL-2 は、制御性 T 細胞 (Treg) と呼ばれる抗炎症性免疫細胞のレベルと活性を増加させることによって炎症を軽減することを目的としています。一方、CTLA-4 Igは、ALSの炎症や損傷を促進する免疫細胞の活性を低下させることを目的としています」とあります。インターロイキン??調べるとサイトカインとありますが、正直ちんぷんかんぷんです。アバタセプト??調べると免疫システムを整える薬剤とあります。
当方、科学者でもないので和訳しても理解できなくていいのですが、理解できるポイントとして、「生物学的療法」ということは化学的な薬品ではなく、培養技術を用いた薬剤ということになると理解できます。そして、いくつかのパスウエイを標的にしている点も理解出来ます。同社CEOがビデオインタビューでも話していますが、癌治療でもそうだが、標的を一つに絞るのではなく、より高い効果の為、機能を組み合わせるコンビネーションが大事だと言います(カクテル療法という言葉が使われることも多いです)。あとは皮下投与ということも理解出来ます。
更に興味深いのが、同社アドバイザーの坂口教授のTreg(制御性T細胞)についてです。検索すると日本語の記事も多くあるので、見ていただけたらと思います(私が目を通した主だった記事は下にリンクを貼らせていただきます)。当方の昨年5月23日の記事にも書きましたが、私はALSは自己免疫性疾患だと思っています。免疫が強すぎると自分を攻撃してしまうのが、自己免疫性疾患ですが、自己免疫機能に一番影響を与えるが制御性 T 細胞です。これが川上にいる最も重要な存在のようです。
他方、遺伝子治療薬だけで完全な治療は達成できません。トフェルセンだけでは完治しないことも判っています。今年始まる第2相のCOYA302がFDAのお墨付きを獲得できれば、遺伝子治療薬とCOYA302が互いに補完するものになるかもしれないとも想像しますが、物凄いコストの治療になりそうです。が、先ずは治療方法を開発することが重要です。という意味では、iPS細胞研究所がいう「iPS細胞を低価格で提供したい」という彼らの標語は私には正直意味不明です。何故ならコスト云々の前に製品として確立していることが先決だからです。もちろん設計の段階でコストを考慮した設計を考えることは当たり前ですが、安いコストはどちらかというと生産や量産技術で達成するものであり、治療方法(製品)として確立していない中、iPS細胞研究所が、低価格で提供したいという意味がよくわかりません。ついでに言うとオールジャパンでの開発にこだわるのも正直意味不明です。このコーヤセラピューティック社の様に日本人の坂口教授をチームメンバーにして治療方法の開発を進めるのが、あるべき姿です。
少々脱線したので話を戻します。
COYA302の今後ですが、今年第2相治験がスタートし、順当に進んだとしても結果がでるのが2025年、米政府やFDAがどんなに迅速に進めても2025年後半に早期アクセスが可能になると考えます。するとアメリカの友人が話していたとおり、「COYA302はゲームチェンジャーだが、我々が間に合うかどうかは厳しいかもしれない」と言っていたことはその通りだといえます。日本はどんなに早くても2026年でしょうか?日本でも今年治験がされればベストですが、全く分かりません。どうか厚労省もCOYA302に関心を持っていただき、日本での治験や早期アクセスの道筋を検討していただきたいと考えます。
2026年まで待てるかどうかというのは正直難しいですが、ひとつ言えることは、
我々現患者は初めてALSで命を落とすことが無くなるかもしれない最初の世代になる可能性があるということは間違いないといえます。I AM ALSの会長ブライアンさんもよくインタビューで、そのように発言されています。僕も同じ意見です。
以上です、
情報収集の為目を通した記事、ビデオその他:
https://www.jst.go.jp/pr/jst-news/backnumber/2017/201709/pdf/2017_09_p08-09.pdf
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