何か行動を起こそうとするとき、その判断基準を確率に委ねていいこととそうじゃないことがある。

 確率で判断すべき代表格がギャンブル。例えば競馬の場合は、控除率と大数の法則によって、いずれ回収率が75%に収斂すると考える。 (※「いずれ」がポイントであって、今日はゼロかもしれないし、200%かもしれない。)
 つまり、ギャンブルにおける理想の行動は、 以下のとおりとなる。
A:負けが込んでいても、今日はゼロの日。どうせ「いずれは」勝てるんだからと達観して、今日中に負けを取り戻そうと焦らない。 
B:たとえ自信あるレースでも、今日はゼロの日かもしれないと考えて、自分の身の丈を超えた金額を賭けない。

 一方で、確率だけで判断しちゃいけない代表格は対自然災害。
 なぜなら、発生しない確率が99.999999%とか数百年に1回とかでも、それは明日発生するかもしれないし、その類のいわゆるテールリスク、ブラックスワンは、発生したらこれまでの人生で積み上げてきたものを一瞬にして失うこともあるからだ。(僕たちは3.11や過去の大災害を忘れちゃいけない)
 だから、対自然災害においては、「(確率的に)ほとんど起きないのだから大丈夫と考えるのではなく、もし明日発生したらどうなるか?」と考えて行動すべきなのだと切に思う。

 ただ、その後僕たちは、「費用対効果」や「ヴァリューアットリスク」という難敵に直面する。テールリスクやブラックスワンを想定して、その影響を小さくしようとすると、多くの場合莫大なコストがかかるし、もちろん投下できるコストには制約があるからだ。

 例えば、首都直下地震などの大規模地震が起きても事業を継続しようと思ったら?
 使える資金に制約がなければ、中核拠点を地震のない海外に移すか、オフィスビルをガチガチの免震構造にして、大規模な非常用自家発電機を設置すればなんとかなるかもしれない。でも、現実には、これらにはものすごく金がかかる。そんなコストをかけていたら、その企業は厳しい競争に沈んでしまうかもしれない。

 これに対する答えは一つ。「全部は守れない。」と割り切ること。
その上で、本当に必要なものは何か?ということを真剣に考え抜き、それだけは最大限のコストをかけてでも守る。これがまさにBCP(事業継続計画)の本質。
 企業のBCPは、これはこれで奥深いテーマなので議論は別の機会に譲るけど、こと日常生活において、絶対に守らなければならないものは何か?これは僕たちが今のうちから考えておかなければならないことだと思う。(僕の場合は、家族、大切な人、そして自分の生命・安全。例え他の財産をすべて失ったとしても、それだけあればなんとか生きていけるはずから。)

 以上、だらだらと話をしてきたけど、リスクマネジメントの手法やツールを勉強する前に、僕たちが身につけておかなければならない考え方は以下の2点に集約できる。

その1:行動の結果、リターンがゼロになっても許容できるのならば、それはリスクを取っていい。いやリスクを取らなければリターンを得られない今の時代、積極的に取るべきだ。その代わり、せっかくリスクを取る以上は、成功した時の報酬(リターン)はなるべく大きくなるようにしたいもの。

その2:行動の結果、もし失敗してしまったらすべてを失うって場合は、今すぐはそのリスクを取っちゃいけない。リスクを許容OKのレベルまで下がるようにリスクマネジメントしたうえで行動しよう。人生は賭け事ではない。


5月26日の東京最終12Rの目黒記念。◎-〇-▲で3連単7万馬券という 滅多にない完璧な予想。次いつあるかわからないので、記念にアップ。

目黒記念ツイート

目黒記念馬券


 多くの時間を割いて「あるべき姿」とか「理想形」とかを考えて、それだけで満足してしまう人がいる。でも、当然のことながら、机上の空論だけでは物事は何も進んでいない。

 もちろん、 「あるべき論」を考えること自体悪いことじゃない。むしろ行動を起こす前にある程度の方向性を決めておかなければ、途中で路頭に迷うことになる。問題は、それを考えるのに必要以上の時間をかけたり、それができるまで何も行動しないこと。

 まずは短時間で考え抜いて正しい(と思える)方向性を見出したら、即動く。そして間違ってるとわかったら、その時点ですぐに軌道修正する。これがスピードの要求される今の時代に必要な行動基準なのではないだろうか。

【あるべき論者の悲劇①】
A社長:「あるべき経営方針を3年かけて考えよう!」⇒3年後には経営環境そのものが変わっていて、その方針はもはや使えない。そしてまた3年かけて経営方針を考え直している間に事業がなくなる。

 【あるべき論者の悲劇②】
Bさん:「理想の結婚とは何か?がわかってから恋愛しよう!」⇒おそらくは結婚することはない。

【あるべき論者の悲劇③】
Cさん:「株の必勝法を極めてから株をやろう!」⇒おそらくは一生株を買うことはない。

【あるべき論者の悲劇④】
D大統領:「理想のユーロ圏を作り上げよう。それまでは場当たり的な対応でいいじゃん。」⇒ ギリシャ問題、ユーロ危機拡大・・・。

【あるべき論者の悲劇⑤】
E国会議員:「完璧な「税と社会保障の一体改革」を考え付いてから具体策を議論しよう」⇒ 財政破たん・・・。 

【あるべき論者の悲劇⑥】
Fさん:「それなりの基礎体力ができてから本格的な運動を始めよう!」→永遠に本格的な運動は始まらない(そもそも「それなりの基礎体力」ってなんだよ)

【あるべき論者の悲劇⑦】
Gさん:「英語ができるようになったら海外旅行に行こう」⇒Gさんが国境を越えることはない。

 今日発表された、日銀の「物価安定目標の表現変更」はビックサプライズ。
 これが安住さんのいう「実質的なインフレターゲット」かどうかは、日銀がどこまでこの目標にコミットするかによるのだろうが、インフレ目標の明示を頑なに拒み続けた日銀がここまで踏み込んだのは画期的だと思う。

 いずれにしても、この「物価1%上昇めど」がトリガーとなって 日本経済がデフレから脱却し、日米実質金利差拡大⇒円高解消につながることを切に望む。

 それにしても、今日の日銀の対応、岩田規久男先生はどう評価されるのかな?興味ある。

 
 輸出企業各社の決算内容を見ているが、各社とも例年以上に円高耐性が弱まってる感。震災やタイ洪水などによる一過性のものなのか、構造的な要因なのかはさらなる分析が必要。

 ただ一つ言えることは、リストラやコスト削減だけでは、足元の数字は良くなれど、将来的にはジリ貧になる。円高、超低金利の今だからこそ、豊富な手元流動性を活かして将来投資をする。そんな企業だけが持続的成長を果たせるのではないだろうか。