肌から伝わるひんやりとした壁
埃っぽく湿った空気
ギシギシと手足に食い込む藁縄
少しでも力を入れると響く身体
ぽた、ぽた、と水道に残っている水が
まだ覚醒していない僕の聴覚に響いた
瞼が重く視界が狭い
これは使えないから他に神経を注ぐ
腐った床の音と空気の振動
体格はよさそうだが
足でもやられたのかフラフラしている
きっと僕を連れ出す時に受けた傷が原因かな
やったと顔が綻びたが
こんな状況じゃteacherの心配性がなぁ…
力を入れ過ぎると縄がうるさい
無駄に力は使いたくない
もう少し寝たふりで突き通すか
それとも騒いでただの子供だと示すか
低く脳の波長の合う声
乾いた声は途切れ途切れだが何かを歌っている
聞き覚えがあるな
teacherのこもりうたと同じ
友達はみんな歌ってるから
この人は僕の所属している地域に住んでいる
それさえ分かれば僕の役目はあと少し
この人のことを伝えることさえできれば
足音が僕に近づく
こんな終わりってのはかっこ悪いな
まだ生きていたいのか
やり残したことより
やってないことのほうが多すぎる
まだ僕は
「君は英雄になれ」
ゆるくなる手足
水をぶっかけられ
僕は目を覚ました
「習わなかったのか、急ぐんだ」
なぜ僕を逃がす
なぜ僕の夢を知っている
情けなのか、それとも罠か
「奥の物置部屋に行け」
ライターの焦げ臭い匂い
そしてこの部屋に充満しているアルコール
「君はもう歩いてる」
この人は信じれるか
いや、そうしなけらばならない
振り絞れ
まだ間に合うはずさ
駆け巡れ
バチッ…
水道管から漏れたのか
湿って腐ってるおかげで
電流は流れる
「ウォール!フロウ!急いで逃げろ!」
ここでも馬鹿をした
水を通して彼らを起こしたのは
危険を顧みずに行った行為
この人は信じたかったから
もう少し話を聞かせてくれ
「英雄はまた、間違いを起こすんだな」
バチッ…
ここで僕は意識を失った
