有給休暇の取得率(その2)(門倉貴史)
フランスもブラジルと同様、有給休暇の支給日数が30日とかなり多く、有給休暇のほとんどはバカンス(夏の長期休暇)に使われる。
バカンスの影響で毎年8月になると、パリをはじめとする大都市では経済活動が停止した状態になる。また夏休みや冬休みなど、子供の休みに合わせて親が休暇をとることも習慣化している。
ただし、08年9月のリーマン・ショック後の不況の影響もあって、近年では、バカンスを取得しても、経済的に行楽地に行く余裕がないので、どこにも出かけずに家でじっとしている人が増えているという。
香港はどうだろうか。香港の有給休暇の支給日数は年間14日と少ないが、多くの労働者はこの有給休暇をフル活用しているようだ。
香港で有給休暇が完全に消化される大きな理由として、企業の間で有給休暇の買い取り制度が定着していることが挙げられる。
未消化の有給休暇権利日数分は、社員が退職する際、原則として雇用主側が「買い取る」ことが雇用条例で定められているのだ。このため、経営者が労働者に対して有給休暇の消化を奨励する傾向がある。
その3に続く