ひらめき電球こんばんは、門倉と申します。東京スカイツリーの経済効果について、今日ラジオでお話したこと、時間の関係でお話できなかったことをまとめましたので、興味のある方は読んでいただければと思います。



●東京スカイツリー開業の経済効果は?

→まず、どれだけの人が訪れるかという点から。事業主体である東武鉄道によると、スカイツータウンへの来訪者数は初年度1年間で約3200万人を予測。

→これは東京ディズニーランドとディズニーシーの年間入場者数の合計(2011年度は2534万7000人)の1・3倍に相当。

→やや控えめに見積もった東武グループの中長期経営計画でも年間約2500万人の来場者を見込む。

→次に、経済効果の金額。東京都墨田区の試算では、スカイツリーの経済波及効果は年間約880億円。

→ここで「経済波及効果」というのは、観光客が土産を買ったり、飲食をしたり、宿泊をしたりして直接お金を使った額が、レジャー産業や製造業など関連産業の生産をどれだけ増加させるかを、「産業連関表」を使って計算した金額。

→ちなみに、東京都全体では年間約1300億円の経済波及効果。

→経済効果の試算は一定の前提を置いたうえで機械的に計算したものなので、地元を中心に開業後にどれほどの経済効果が発生するかは不透明だが、東日本大震災後1年が経過して観光客の数は着実に戻ってきている。そこにスカイツリー開業が重なることで、たくさんの人が訪れて地元商店街が活性化することは間違いない。

→さらに、経済効果は東京以外の地域にも広がる。たとえば、スカイツリーと東武鉄道でつながる栃木県。足利銀行のシンクタンク「あしぎん総合研究所」ではスカイツリー効果で、年間250万人の観光客が栃木県を訪れると予測している。その前提での栃木県内の経済波及効果は年間370億円に及ぶ。

→低迷している金融マーケットを刺激する効果も。上場企業のうち、スカイツリーの商業施設「東京ソラマチ」に出店する企業や旅行会社などはスカイツリー効果で業績のアップが予想され、それによって株価上昇が期待される。岡三証券はスカイツリーで注目される50銘柄を指数化している。指数の名前は「岡三東京新タワー指数」。



●デートスポットとしても魅力的?

→スカイツリーでデートすれば、デートの成功率がアップするかもしれない。スカイツリーには地上350メートルと地上450メートルに2つの展望台が設置されている。お勧めは地上450メートルのところにある第2展望台。

→展望ロビー外周には、ガラスで覆われた空中回廊が設けられていて、最上級のデート&夜景スポットになる。

→心理学では「吊り橋効果」の存在が知られているが、その効果が得られるチャンス。

→「吊り橋効果」というのは、高いところで怖くてドキドキする気持ちと恋愛感情が同じものと勘違いして、女性が男性を好きになりやすくなる現象。

→だが、しかし、自分が高所恐怖症だとうまくいかないかもしれない。

→デートで展望台にいくのは夜のほうがいい。暗いほうが、恋愛感情が高まる効果があることがわかっている。ちなみに、展望台の営業は午前8時から午後10時まで。

→デートのディナーは、スカイツリー・イーストタワー内の30~31階にあるレストラン街がお勧めという人も。ここからだと、夜にライトアップされたタワーを間近に見上げながら恋人と食事ができるらしい。



●海外からも多数の観光客が訪れることになるのか?

→日本の有名観光スポットのひとつになることは間違いないので、海外からの観光客の拡大も期待できる。

墨田区は今年度(2012年度)予算で、観光効果を高めるための支出として15億円を計上。東京ソラマチ内に観光案内施設「産業観光プラザ すみだ まち処(どころ)」が設置されるが、そこに外国語の問い合わせに対応できるスタッフを置く。

→東京スカイツリー効果で、外国人観光客の増加が見込まれる浅草では今年4月20日に「浅草文化観光センター」を開設。場所は浅草寺雷門前。浅草文化観光センターでは、英語・中国語・韓国語の3ヶ国語に対応できる体制を整えている。海外から訪れる人たちにも幅広く観光情報を提供していくことで地域振興を図る。また、外貨両替所も設置して、外国人観光客向けサービスを拡充する。

→スカイツリーの商業施設「東京ソラマチ」に出店するお店も外国人観光客を意識したメニュー・品揃えを工夫。ある菓子製造会社は、外国人観光客を意識して和菓子の「おこし」を洋菓子風に仕上げた新商品を扱うお店を新規にオープン。



●東京スカイツリーの人気に押されて、東京タワーの来訪者が減ることにはならないか?

→むしろ、シナジー(相乗)効果が期待できそう。

→東京スカイツリーの人気にあわせて、全国各地の有名タワーを訪れる人が増えてきている。

→大阪の通天閣や福岡の福岡タワー、東京タワーなど。

→各種のメディアでタワー特集が組まれるようになっていることが全国のタワー人気の背景にある。仕掛けによって「タワーブーム」が起こっている。

→東京タワーでは、新旧タワーを比べてみようという発想で来場者が増えると見込んでおり、今年度の来場者数の目標は300万人と、2011年度実績の241万人より多めに設定。

→東京スカイツリー人気で、それまでほかのスポットを訪れていた人たちが、スカイツリーにシフトするだけだと、日本全体で考えた経済効果は期待できないが、このようなシナジー効果が生まれてくれば、日本全体で景気を刺激する効果が期待できるようになる。




BRICs経済研究所 代表 門倉貴史