重力に打ち勝つために翼を

   巨大な推進力を得るためにエンジンを



以前の記事で飛行機の開発の仕事をしていると書きましたが、
私が携わっているのはボーイング787という飛行機です。
787はドリームライナーとも呼ばれます。


先日、お客様に乗っていただき飛行が開始されたこともあり、
テレビのニュースで映像が映し出されたのを見て感動しました!


ボーイング787-8(ナナハチナナ、ダッシュハチ)の特徴は
複合材をたくさん取り入れたことです。

複合材は名前の通り、複数の材料を合わせてできたものです。
身近にあるのは鉄筋コンクリートで、コンクリートに鉄筋を入れているので、
複合材になります。


飛行機の場合は樹脂に炭素繊維を混ぜたものを使っています。

飛行機で複合材を使うメリットですが、まずは客室内を加湿できることです。
従来は金属でできていたため、加湿をすると錆びてしまうので加湿できませんでしたが、
複合材は金属ではないので、加湿できるようになりました。

湿度が高くなると肌が乾燥しないこともあるのですが、エコノミー症候群に
なりにくいとも言われています。
エコノミー症候群はエコノミー席だから起こるのではなく、乾燥していて体内の
水分が不足すると血液がドロドロになって発症すると聞いています。


また、飛行機は高いところを飛びますので、地上と気圧がかなり違います。
気圧の違いを修正するために、圧力をかけて地上と同じ気圧にしようとしています。

飛行機内は風船の中にいるようなイメージです。
なので、極端すぎますが、圧力をかけすぎると機体が膨らんで破裂なんてことも。
787では複合材で客室内の強度が増し、より高い圧力をかけれるようになり、
従来よりも地上と同じような環境になったと聞いています。

客室内の強度が増したことで、窓が大きくなりました。
窓からの眺めも従来機よりも楽しめると思います。


言葉では書きましたが、私は乗ったことはないので、どの程度違うかは分からないです。


そして、機体の安全ですが飛行機に限らず自動車や建物が壊れる原因の一つに
疲労破壊というのがあります。
針金を曲げたり戻したりを繰り返すといずれ折れてしまうのと同じように、
金属に何度も何度も繰り返し力が働くと壊れてしまう現象を疲労破壊と言います。


飛行機は暑いところも寒いところも飛びます。
金属は熱いと膨張して、寒いと収縮をしますので、この伸びたり縮んだりすると
部品に疲労としてダメージが残ってしまいます。

複合材は温度による変形があまりないので、疲労破壊に対する強度が増えています。


特徴として良い事だけを書かせて頂きましたが、世の中に存在するのもので
メリットだけというのはないのかなと思います。

787はもともとは北京オリンピックに間に合う予定だったそうです。
つまり、3年間も開発が遅れてしました。
この3年間はデメリットを直す期間と考えれば遅れてしまったのも、
仕方ないのかなとも思います。
安全が第一ですからね。



この写真は今年の7月に787が日本に、そしてセントレアに初めて来たときに
見に行こうとセントレアに行って撮ってきました!

職場で開発に携わった人は機内に入れるとのことでしたが、希望者が多く、
あみだくじの結果、見事に外れてしまいました。

機内でも写真撮り放題だったらしいので、入れなくて残念でした^^

金網越しの787です。
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ロールスロイス製のエンジン、カッコイイです^^
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ドリームライナーとドリームリフター
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こちらのふっくらした機体はドリームリフターと言います。
イメージ 4

787は主翼や胴体、エンジンなどの部分を世界各国でつくり、部位ごとに組立て
アメリカで最終的に組み立てます。
ドリームリフターは各国で組み立てた部品を運ぶために、ボーイング747を改造
してつくられた機体です。

後ろが開いて胴体部分を搬入しているところです。
イメージ 5

黒い円筒のものが複合材でできた787の胴体です。

無事に搬入が終わり、アメリカへと飛び立ちます。
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787飛翔
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787が飛び立つところを見て、いままで仕事をしてきた中で一番感動しました。
私は787に携わってまだ半年ですが、開発初期から携わってきた方は、きっと
感動の度合いが違うんだろうなぁと思いました。


私は今までで飛行機に乗ったのは高校の修学旅行の1回だけなのですが、
機会があれば飛行機で世界各地に行ってみたいと思います^^

これからは国内、海外ともに787が活躍する時代がやってきますので、
機会がございましたら乗って頂けると嬉しいです^^

そして、乗って頂けた方が素敵な旅だったと思って頂けると幸せです♪

多くの方の夢や笑顔を乗せて大空へ。

2011年11月

Canon Powershot G11
Panasonic FZ50