「アヘン王国潜入記」高野秀行著を読んだ。

著者は、早稲田大学探検部のOBの、現役の探検家である。
本作は、アヘンの世界一の生産地域であるビルマのワ州での数か月におよぶ農村滞在を語ったルポである。
村の奇習、厳しい気候、村人の個性、コミュニティーに外様として入っていく際の苦労とストレス、アヘン中毒になった際の心身の変化などが、
生生しく表現されている。読み手の視覚、嗅覚、触覚、聴覚にうったのが上手い。まるで自分が現場に居合わせているかのような気分にさせられる。

なぜ、こんなに臨場感のある文章が書けるのか?読み手に絵を伝えることができるのか?
一言でいうと、面白い文章がかけるのか?

それは経験があるからである。
さらにその経験が、著者が莫大なリスクを負いながらも勇気を出して行動した結果であるからだ。

「あいつは口だけだ。」
陰口の定番として、このように批評される人物がたまにいる。
論理的で、統計的に妥当なことを言っていても、その人物の経験が描写されていない話は、退屈である。
おまけに理想論を語ってしまうと、退屈を通りこして不快になるのである。

一方、他の人には無い経験を語る人の話は、それだけでおもしろい。
その唯一無二の経験が、確固たる目的を持った行動の結果であり、さらに多大なリスクを伴うものだとしたら、なおさらである。
経験は魅力的なストーリーテリングの必要条件なのだ。


行動と経験、成功と失敗のを繰り返し。
人生の舵を自分で切ってきたという自負があるからできる、自嘲。
話から滲み出る知性と、ぶれない意思。

そんな話ができる大人になりたい。


この2、3年の出来事を振り返ろう。
学生時代が終わり、仕事を始めた。入籍し、結婚式を挙げた。引っ越しをする。子供も生まれる。
内面では、一度完全に失った自信を少しずつ積み上げていき、新しい壁にぶち当たって転びつつも、チャレンジする勇気を着実に取り戻してきている。

ところが、人生が進むスピードが速くて、どうやら、思考の整理が追いついていない。
その証拠に、やる気の波が激しかったり、スランプに陥ったり、現実逃避のために怠惰な生活を送りがちになってしまったりしている。。
ここ2、3カ月は特に、前進している感覚を全く味わうことができていない。

自分の人生の目標を簡潔に表現すると、
「本気でチャレンジをして、後悔なく死ぬこと。子供に語ってもらえる人生にすること。」
だから、このまま貴重な時間を浪費してはいけない。
このままでは本当に、絶望的な死を迎えてしまう。

「最強の働き方(ムーギー・キム、東洋経済新報社)」
を読んでいる。なるほど著者が語るように、「包括的」に、仕事や人生に対して必要なマインドセットとアクションが記されている。
今まで顕在意識のレベルでは理解していたが、潜在意識に刷り込まれていなかったことに気づくことができた。

第1章と後半をぱらぱら読んだだけだが、自分の人生を支配するために今、やることが明確になった。
それを記録しておこう。

■ 仕事の基本をマスターすること。
著者によると、仕事の基本は、
- 話すこと
- 書くこと
- 整理すること
である。
信頼感を与える声のトーン、過不足のないメモ取り、データや書類の整理、などなど。

どれも以前から認識していた自分の苦手なことばかりだ。
それらを黙って見過ごしていたわけではない。
ハキハキと喋るために一時期発声練習をしていた。タイマーを使用して片付けの習慣を刷り込もうとしたことがある。
しかし、いずれもゴールに達せずまま、いつの間にやら中断してしまった。

思えば、「基本」の重要性については、私は強烈な原体験を持っている。

小学生のとき、周囲より少しサッカーを遅く始めた私は、最初は劣等感ばかり感じていた。
ボールを止められない、まっすぐ蹴れない、運べない。基礎・基本が無いから当たり前だが。
自主練を無我夢中でやるようになってからは、めきめきと基礎スキルが上がっていくのがわかった。
誇張ではなく、前日の自分から成長しているのがはっきりとわかるほどだった。

受験勉強においては、予備校で授業を受けて復習をするものの、全く身につかない日々が、長く続いた。
サッカー部を引退した11月から、「基礎・基本固め」に戻る決心をして、学校で使用している教科書と簡単な問題集のみに的を絞った。
すると、それまでの伸び悩みが嘘のように、どんどん成果出るのが感じられた。

では、今の仕事において、その経験を100%活かすことができているだろうか?

いや、できていない。

アウトプットのスピードを上げることを目標に掲げては、大量に貯めた仕事の処理に悪戦苦闘してばかりいる。
また、2年半たっても、自信をもって語れる技術が一つもない。

今までの人生で見出した法則を適用できるとすれば、現状を打破するのは、「基礎・基本」の徹底強化だ。

ムーギーの唱える「話す・書く・整理」するというビジネスパーソンの汎用スキル、
「即断、即決、即実行」の習慣づけ、
業界の常識である基礎技術、知識、品質管理の常識、法務・輸出入の基礎基本。

これらを鍛え上げることから逃げると、もう、望む未来はやってこない。


今から実行できる具体的なアクションを持って、変えていこう。

- メモを取ること。議論を全部記録すること。
 手書きで詳細な議事録を作れるレベルが最低到達ラインだ。
- メールを、即レスすること。
 ムーギーの言うよう、メールは卓球だ。反射神経を研ぎ澄ませ。
- 机、引出、鞄、PCを整理しろ。
 紙の資料は基本的に全て捨てる。保存するものは、製本されたもの、ファイリングされたもののみだ。
 PC上にデータは保存するな。




■ 良く寝て、ぱっと起きる。
自分は、本当に、睡眠が下手だ。
妻のように朝型人間になることを、何十回めざし、失敗してきたことか。

最近、寝坊すること、睡眠不要で頭が働いていないことによる、機会損失がいよいよ顕著になってきた。

結婚式準備の滞りは記憶に新しい。
主張中の怠惰によるチャンスの損失、休日の大寝坊による翌週のパフォーマンスへのインパクト、約束を守れずに趣味が軌道にのらなかったこと。
数え上げればきりがない。

ムーギーによると、出世している人は揃って早起きだという。
無駄な飲み会への参加、夜更かしもしない。

睡眠は人生の三分の一の時間に相当し、しかも、残りの三分の二への影響力が大きい。
成功している人は無意識・意識のうえでその事実を理解していて、睡眠が良いサイクルで回せるように自己管理しているのだろう。

よい睡眠がとれていないのは、充実した人生を送るための基礎・基本が全くできていないということだ。
これでは、私の人生のゴールに到達するのは難しくて当たり前だ。。

今日からするアクションは以下の通り。
- とりあえず、今日はPM9:00に床に就いてしまう。
- 起きれば、頭は動くはず。目覚めたあと、強引にでも体を動かすという、決意。


■ 自分の仕事に、意義を見出せ。

ムーギーのメッセージはこうだ。
「自分の選んだ分野で、『最高水準』の仕事をしろ。」
「自分の強みを知り、それを活かせる仕事をする。かつ、ハマる仕事をする。」
「そんな仕事が無かったら、自分で作れ。」

さて、私は今、ムーギーの期待に応えられているか?

まず、「最高水準の仕事」をしていない。明らかに、周囲の期待を超えられていない。
また、仕事にハマっていない。押しつけられている感が否めないから、主体性に欠けてしまっている。
自分の強みを活かしきる仕事を知らない。探していない。

これが現状だ。

これからどう動くか。以下の三つのオプションがあるだろう。

A) 環境を変えない。
メリット:継続による利点を享受。:キャリア形成、安定成長、明確な進路
デメリット:モヤモヤした気持ち、漠然とした不満をあと30年抱えて生きることになる。

B) 環境を変えず、行動を変える。
メリット:継続による利点を享受しながら、変化を与えることができる。キャリアプランが明瞭。
デメリット:抜本的な問題解決ではない。やりたいチャレンジが今の環境にあることが、成功の条件。

C) 環境を変える。
メリット:抜本的な人生の転換により、現状を打破できる。
デメリット:今までの積み上げを捨てることになる。失敗のリスクがある。決断に勇気が伴う。


今は、決断の材料が足りていないから、Cは時期尚早だ。
明らかに、今取り組んできる仕事を完遂することのメリットの方が大きい。

でも、近い将来、Cを選ぶ場面が必ず来る。
そのとき、どれだけリスクを取れるか。
それは、今の「基礎・基本が磐石であること」と「心身共に自己管理されていること」に、かかっているのだ。


最後に、
5年前の自分に、今の自分を自信を持って見せられるか?
5年後の自分に期待する姿は?

「5年後」があと何回も人生でやってくるわけではない。もしかしたら、あと1,2回で終わってしまうかもしれない。
それでも、後悔のない、チャレンジをした人生としなければならない。

そのために今絶対に実行できることは、やろう。
- 自分の成長と、成果を出すことに集中する。
- 確実に実力を蓄える。
- できる人から、愚直に盗む。ずうずうし過ぎる位で丁度良い。
- 正攻法のやり方で、超高速で成長する。
- My Rule, My Actionに全力で取り組む。

困ったら、「目的」を思い出すこと!

世界の問題を1つ、最高のチームで解決すること。

そのために、今必要なスキルを盗んでいるのだ。