それは、15年前に出会ったドラマ

高2の冬。
将来の自分を模索し、進路を考えていた時期だった。SMAPの中居正広さん演じる見習い板前、 伊橋 悟の板前修業を描いたドラマに出会った。
料理に対する向き合い方。味を受け継ぐ事。
人を育てる板場。
素材を愛し、活かす事。
道具を大事にし、最大限に機能を引き出す事。
困難に立ち向かう姿勢。
…
沢山の事を学んだ。
そして、いつしか京都という地に憧れ板前修業をしようと心に決め、京都の調理師学校へ進み京料理の板前になる事を夢とした。
調理学校へ入学後、坂本龍馬の銅像がある。円山公園へ足を運び園内を歩いていると高台寺があり、秀吉の即室であるねねの方がいる時代から続く井戸水を扱う料亭『菊乃井』という建物が見え、ここで働きたいと夢を膨らませた。
そして、そこの支店である。『露庵 菊乃井』でバイトを始めた。
そして、調理師学校生活は、皆同じ夢を抱く地方出身者ばかりが集まる寮生活で毎日が楽しく、毎晩の様に各々の部屋に集まり夜更けまで夢を語り、勉強し、桂剥きの練習を毎晩して、包丁を命として毎日研ぎ澄まし輝いていた。当時の友人とは、今でも年賀状程度だがやりとりがある。そんな調理学校も卒業が迫り当然そこに就職するつもりだった。
しかし、本店である料亭への就職は募集しておらずバイト先の割烹で就職を余儀なくされた。
が、住み込みの寮とはとても言い難い狭い空間で弟子がすし詰めで雑魚寝といった様な生活。
一人の空間、プライベートなんてない生活。弟子として修業している方は皆、各地方の料理店の跡取り息子ばかり…
自分なりに悩んだ結果、そこへは就職せず、別の料亭である大阪を本店とし、京都、東京、高級ホテルと展開する老舗料亭『つる家』という所に就職した。
そして、エリザベス女王も来た京都の料亭『岡崎 つる家』への希望に添った配属がされ、京都での修業生活がスタートした。
毎朝、5時から仕込みが始まり鰹ぶしは蒸してカンナで削り出汁を取り、苦味の出る血あい部分は修業一年目の者が出汁取り、味付けの練習をする為に昼食でうどん出汁にする。
毎日、昼食はうどんである。
板前修業と言っても、雑用係で、あちこちと用立てられ持ち場がなく追い回される事から『追い回し』という位置。鍋磨きや掃除、ぬか漬け混ぜ、漬物の切り込み、お造りのつま作り、飾り付けに使う季節の植物を寺や神社に許可を得てちぎりに行ったり、盛り付け、夏になると京都で仕入れた鮎を発泡スチロールに詰め風呂敷を抱えて京阪線で大阪まで運ぶ係が主で料理用の器すら洗わせてもらえない立場。
要は、パシリです。
初任給は、平成の時代に5万円だった。19歳の若者にとっては、修業と分かってはいても遊びたいと思わない訳がない。
そんな中、与えられた唯一の癒し空間である二人一部屋の寮生活。同じ部屋は先輩との空間…自分が少ない休息で寝ていると隣で休みの先輩が爆音で音楽を聴いたり、ゲームをしている。
先輩が休みの時は、イヤホンでテレビを観なければいけない。
そんな生活に耐えきれなくなり、ある日先輩とトラブルで喧嘩となり寮を飛び出しその勢いで辞めてしまった。
早い話、夢を簡単に投げ出して挫折してしまった。
高い学費を工面してくれた両親や祖母に会わす顔がなかった。
それでも故郷へ帰り、3年間焼肉屋で精肉をしたりフレンチの勉強をしたが、料理から逃げる様に調理関係の仕事をしなくなった。
それでも、料理そのものは好きなので当時の彼女に作ったり趣味程度に料理はした。
でも、専門誌や今回の味いちもんめの原作マンガには一切目を通さず逃げていた。
15年ぶりにようやく味いちもんめに向き合う事が出来た。
あの時、逃げずに修業を続けていたら?
あの時、本来行きたかった店を選んでいたら?
なんてターニングポイントを今だから冷静に振り返って思えるが、挫折した事で別の職種で得るものもたくさんあった。
別の職種で9年間勤め、今の仕事は、挫折し別の職種でリーダー的仕事に携わらせてもらい、今だからこそ出来ている、出会うべくして出会った仕事だとも思える。
今思えば、コロコロ転々と職を替える事も糧となっていた。
今回、なにげなく味いちもんめを観ていて気が付けば過去の自分が情けなくなり悔しくて号泣していた。
今でも、たまに寝ている時に京都の夢を見る。
夢は、叶えるためにある。
夢は、諦めたらそこで終わる。
等といった言葉を聞くと胸が苦しくなる。
逃げたんだから。
でも、今思えば挫折が大きく成長させてくれたとも思う。
決して出来た人間では無いが今までの人生を素直に受け入れれる歳にはなった。
彼女と一緒に○○した。
って言うロマンスを青春に置き換えるならば、人並み以下だが(笑)
今は、あまり人には話したくなかった様な挫折も正直に話せる歳になれた。
オッサンになったねぇ~

私にとっての
『味いちもんめ』とは、ただのマンガ、ただのドラマで通りすぎれない思い入れがある。
長々と書いちゃいました

もうすぐ32歳になるオッサンの独り言です♪