副業収入300万円未満は雑所得に?……国税庁の狙いは“サラリーマン副業”潰しか古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」
2022年08月12日 07時01分 公開
[古田拓也
所得が増えるごとに税率も上がるという「累進課税」は一般的な税の仕組みである。その一方で、所得が一定を下回ると税負担が増える「逆進課税」は格差拡大を助長するものとして避けられなければならない。
しかし、国税庁が8月31日までの期間で意見募集パブリックコメント、パブコメ)を始めた「所得税基本通達」の一部改正案が、逆進課税的であるとして物議を醸している。
具体的には、副業の収入が月額25万円を下回る会社員の副業所得にメスが入る。サラリーマンで副業を行っている人の収入が年間300万円を下回る場合は、原則としてその所得を税務上の融通が効きやすい「事業所得」ではなく、ほぼ融通の利かない「雑所得」とするというものである(そのため、副業をしていないサラリーマンは増税とならない)。
この規制案の最も大きな変更点は、他の所得区分と「損益通算」ができなくなることである。仮に副業が「雑所得」に組み分けられてしまうと、会社に勤めながら副業にチャレンジして赤字になった場合に、本業の給与と損益を通算して税負担を軽減できなくなる。
極端な例では、副業の赤字が給与額を超えた場合に、合計の所得はマイナスでも給与所得にかかる所得税はそのまま支払わなければならないといったことも起こり得るのだ。
「働き方改革」などと銘打って副業やダブルワークなどを推進してきた政府だが、ここにきてサラリーマンの副業を実質的に規制する施策を検討しているのは矛盾とも思える。副業だけで「月あたり25万円(年間300万円)」をクリアできる副業サラリーマンはどれほど多いだろうか。
事業所得では、青色申告特別控除という、最大65万円の所得控除が認められる。しかし、雑所得となるとこの適用はない。つまり、副業の年収が300万円を超えない副業サラリーマンの場合、事業所得の場合と比較して65万円に相当する税金を余分に支払わなければならなくなる。
「収入が月当たり25万円未満」という収入が“低い”場合のみに適用される特例であることからこれは「逆進課税」といってもいいのかもしれない。
今回はなぜこのような“サラリーマン副業”を狙い撃ちにしているのか、国税庁側の立場から少しだけ触れていきたい。
そもそも、巷では不評の「インボイス制度」も、本来の公平な税負担という観点では必要な制度として導入が決定された経緯がある。具体的には、本来であれば消費税を納税する義務のないはずの「免税事業者」が、顧客の請求に「消費税」を上乗せすることで本来の売り上げに加えて10%の追加利潤を発生させていたという「益税問題」が、導入の大きなきっかけとなっている
事業主が消費税を納税する義務を有するか否かは、原則として前々年の課税売上高が1000万円を超えるか否かで判断されるため、自身が消費税を納める義務を有していないことが明らかであっても、商慣習的に免税事業者が消費税を請求することが常態化していたのである。
さまざまな意見はあるだろうが、税に対する抜け穴的なテクニックが広がりを見せてくると、徴税側としてはその穴を塞がなければならないと動くのも頷(うなづ)けるのではないか。
真の狙いは「サラリーマンの赤字副業節税」根絶?
今回の規制案についても、「サラリーマン副業節税」をSNSなどで指南するインフルエンサーが現れていたのも要因の1つであると考えられる。具体的には、「サラリーマンが副業で経費を多く出費することで、わざと赤字を作り、給与所得と損益通算すれば実質的な所得減税となる」というようなやり方が、足元で喧伝されている。
もちろん、大手を振ってわざと赤字を作っても、経費として否認されるという仕組みはある。しかし、いくら国税庁といっても、探偵やお天道様というわけではないし、人的リソースも無限ではない。
事業所得と事業主個人の生活費の境界線は実はかなり曖昧で、事業に関連して支出したと整理された経費が、本来は事業主の生活費であったかどうかを完璧に判別するのは難しいのである。
国税庁の提示したサラリーマン副業の所得区分をもう少し詳細に見ると、その中でもやはり“モラルハザード的”な事業所得を、雑所得に分類していきたいという狙いも垣間見える。
国税庁によれば、今回のサラリーマン副業規制案の正式な要件は次のとおりである。
事業所得と業務に係る雑所得の判定について、その所得を得るための活動が、社会通念上 事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定すること、その所得がその者の主たる所得で なく、かつ、その所得に係る収入金額が 300 万円を超えない場合には、特に反証がない限り、業務に係る雑所得と取り扱うこととします。
つまり、副業ではなくフリーランサーや個人事業主の収入で生計を立てている場合は、これが「主たる所得」であることから、月あたり25万円の水準を下回っても「雑所得」に分類されないため、増税とはならない。
また副業であったとしても、例えば「開業したてで先行投資や顧客開拓のコストがかさみ、売り上げがほとんどたてられなかった」などといった正当な「反証」があれば、年間300万円の水準を下回っても事業所得として認められそうだ。
このように考えると、今回の規制案は「サラリーマン副業」を一般的に潰すものではなく、「真っ当でないサラリーマン副業」を潰すということが主眼に置かれているとも考えられる。
筆者の実体験としても、プライベートな食事で「領収書いる?」というワードがさまざまな場面で飛び出していたことを思い出す。これを翻訳すると、「あなたは個人事業主をやっているので、今回の食事を取引先との食事ということにして経費で落としませんか?」という意味になる。
他にも実例はたくさんあるが、年に必ず数回以上は、個人的な支出を経費にして当然と考えている人の存在を目の当たりにしてきた。そのような個人事業に関する制度運用の“ゆるさ”が、赤字副業や免税事業者の消費税請求、ひいては持続化給付金詐欺などにも波及していたのではないかと思いをはせる部分もある。
ひとつ言えるのは、「真っ当」に事業に向き合っている人であれば、これらの規制が導入されたとしても何ら影。を受けることはないはずであるということだ。
【訂正:8/14 収入と所得について記載が不正確な部分がありました。修正し、訂正いたします。】
筆者プロフィール:古田拓也 カンバンクラウドCFO
1級FP技能士・FP技能士センター正会員。中央大学卒業後、フィンテックベンチャーにて証券会社の設立や事業会社向けサービス構築を手がけたのち、2022年4月に広告枠のマーケットプレイスを展開するカンバンクラウド株式会社を設立。CFOとしてビジネスモデル構築や財務等を手がける。
以下俺
これはよく考えてみる必要がある出来事だ。
日本人が年収300万時代から200万に格下げされている現代において知恵の発揮しどころであった方法論を「自分たちの年収だけはゆめゆめさげることなどあるまじ」という保身とエゴから端を発してはいまいか。
それなら本件検討以前に公務員や官僚の年収を抜本的に見なおし200万程度にしてみることを提案する。(それっポッチの我々に支給される月の経費にも満たない給与で仕事なんてアホらしくてやっていられるかと君らは言うのではないか?)
そのように法を改正すれば多大なる経費は節減され仕事というもののあり方が正に見直されよう。これは全産業の活性化につながり、日本人のあるべき姿はいかなるものかをといかけ、根源を探る見なおしが行われることを意味する。
ここからは同テーマの別人による記事である。
別人による下記の別記事が出ているが、「広告(だからこのセミナーを受講し勝ち組に入ろう)」という誘導なのか検証が必要である。例外や異議の申し立てに関する記述が全くない。
これも怪しい。極めて不正確で自分が開催するセミナーの受講にその答えがあるような書き方だ。副業の成功率が90パーセントだとしていることもその明確なデータの提示もなく具体的な内容の説明がないことも、ただの煽った挙句の追い込み商法(人を集めて健康食品を販売するやり方によくこんな商法があった)とも考えないか?
副収入300万円以下なら雑所得、副業にあたらない
300万円以下の副収入の儲けは「事業所得」ではなく「雑所得」である旨、所得税基本通達に明記されることとなりました(https://wp.me/a6gSf3-1Wl)。パブリック・コメントを経て、令和4年1月から遡って適用されます(https://wp.me/a6gSf3-1Wm)。そこで今回は、この改正がサラリーマンの副業に及ぼす影響と、最も適切な対応策についてお伝えします。
事業所得とは文字通り、「事業による所得」です。それが主たる事業なら「本業」、副たる事業なら「副業」です。それより小さい雑所得は、事業による所得ではないので、「副業による所得」になりません。強いて言うなら、「副業ごっこによる所得」です。だからその儲けは、事業所得ではなく雑所得となります。副業ではないので、会社に迷惑をかけない限り、就業規則違反にはなりません。
税務署の実務上はこれまで、いくらまでが雑所得で、いくら以上が事業所得かの線引きが曖昧でした。でも、今回の改正で300万円という分岐点が明示されたので、とてもスッキリしました。
実は、今回の改正は、既定路線です。なぜなら以前から、「他に主たる所得があり、過去3年間のうち、収入金額が300万円を超える年がない場合には、雑所得を生ずべき業務に係る雑所得に該当すると取り扱って差し支えない」と、税務大学校の柿原勝一教授が仰っていたからです。その意味で、実務の運営がようやく正規見解に追いついたともいえます。
では、今回の改正は、私たちサラリーマンの副業に、どんな影響を及ぼすのでしょうか。メリットとデメリットに分けて整理してみました。
メリット:安心して「副業ごっこ」を始められる
300万円以下の副収入は雑所得にすぎないことが明確になったので、300万円以下の副収入が副業にあたらないことも明確になりました。副収入300万円の規模には、1年や2年では到達できません。ですから、安心して「副業ごっこ」を始められます。本業の他に「副業ごっこ」のような2つ目の稼ぎ口を作る生き方を「稼ぎ口二刀流」と言います。
ちなみに今回明記されたのは事業所得についてです。不動産所得については昔から、「5棟10室基準」という明確な基準がありました。戸建て5棟以上・アパートやマンション10室以上、もしくは年収500万円以上の規模でなければ、副業に対して一番厳しい公務員であっても営利目的の自営(副業)とはみなさなれません(人事院規則14-8)。
デメリット:グレーな節税手法が使えなくなる
デメリットは、300万円以下の副収入の場合、意図的に赤字を出して給与所得の税金を還付してもらう裏技が使えなくなることです。この手法はこれまでもグレーでしたが、今後は完全に“黒”となります。その意味では、今までズルをしてきた人にとっては痛手です。でも、その他99%の正直者から見れば、不公平が是正されるので、むしろメリットといえます。
対応策:サラリーマンは今後どうすべきなのか
300万円以下の副収入が副業でないことがクリアになったので、これからは安心して2つ目の稼ぎ口を使って稼いでください。会社は65歳で雇い止めになります。でも、70歳ないし75歳まで年金はもらえません。先行きが不透明な時代を生き抜くうえで、2つ目の稼ぎ口を今から育てておくことは必須と心得ましょう。
とはいえ、勤め先に副収入の存在を知られたくはありません。もちろん、副収入が100万円とか200万円程度の初期段階でバレることはありません。経費を工夫して儲けを20万円以下に抑えられれば、所得税の確定申告が不要だからです。
しかし、副収入が200万円を越えてくると、経費率が低い情報ビジネスなどでは、儲けを20万円以下に抑えることが難しくなります。
そこで、その場合には、「妻社長メソッド」を始めましょう。配偶者や子ども、ご両親などの身内をプライベートカンパニーの社長に据えるメソッドのことを「妻社長メソッド」といいます。あなた自身はその家業を手伝うことになりますが、家業の手伝いは副業ではありません。妻社長メソッドを使えば、あなたは実質的に「稼ぎ口二刀流」を続けられるということです。
しかも、プライベートカンパニーの場合には、収入が300万円以下であっても雑所得扱いにはされません。サラリーマンには想像できないレベルの節税ができるので、お金が貯まり始めるのです。自信を持って取り組みましょう。
*本記事は、著者による書き下ろしです。
坂下 仁(さかした・じん)
お金のソムリエ協会会長
メガバンク行員として25年以上、個人の資産形成と数千件の法人融資などにかかわり、全国の支店長を指導してきた。副業で始めたセミナーは100組超のキャンセル待ちが続き、3年間で1000組超が受講する人気セミナーとなる。その後、顧客を踏み台にして儲ける銀行の姿に疑問を感じて起業、独立し、2018年にお金のソムリエ協会を設立。本業以上の副収入を得て、セミリタイアする会員が続出するなど、受講者の約9割が夢を叶えることに成功。メソッドを学んだ人数は6000人を超える。「週刊ダイヤモンド」「PRESIDENT」「日経マネー」「ダイヤモンドZAi」「THE21」「朝日新聞」など、数十の雑誌・新聞に紹介される。主な著書に『いますぐ妻を社長にしなさい』(サンマーク出版)、『夫婦1年目のお金の教科書』(ダイヤモンド社)などがある。
2922 8 22 現在砺波税務署に確認したところ
通達はまだ一切きていないという。
ここの管轄は金沢国税になるので
問い合わせてみてはという説明であった。
4月にさかのぼり適用するということであれば
当然税務署に問い合わせが行くであろうし
その具体的な説明が税務署に届いていないのは
まったく解せない。
以下は2022年10月07日朝日の記事
「副業300万円問題」大幅修正へ 通常の70倍の反対意見が殺到
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副業で得た収入は、節税効果が大きい「事業所得」なのか、そうでない「雑所得」なのか。線引きを明確にするため、国税庁が8月に「年300万円以下の副業収入は原則として雑所得」とする通達案を公表したところ、反対意見が殺到。これを受け、同庁は基準を大幅に変更する。金額ではなく、帳簿の有無を重視する方向だ。
事業所得は税負担を軽くする優遇措置が手厚い。副業の経費が収入を上回って赤字になれば、その分を本業の所得から差し引く「損益通算」ができるため、節税につながる。一定の基準を満たせば、黒字でも最大65万円を所得から差し引く「青色申告特別控除」が使える。一方、雑所得ではそうした措置は使えない。
「300万円」基準、実質消滅 ノート手書きでも…
国税庁は8月、これまであいまいだった基準を明確にするために「300万円」の案を公表し、ネット上で「副業300万円問題」として話題になった。その後、1カ月間のパブリックコメントに通常の70倍にあたる約7千件の意見が寄せられたが、その大半が「ハードルが高すぎる」「事情はそれぞれなのに、一律の基準をつくるのはおかしい」といった反対意見だったという。これを踏まえ、同庁は通達案を大幅に修正する。
具体的には、取引ごとの売上…

